訴 状
令和2年10月27日
東京簡易裁判所 御中
住所
〒124-0025
東京都葛飾区西新小岩1-3-4-513
原 告 立花孝志
(送達場所)就業場所
〒100-0014
東京都千代田区永田町2-1-1
参議院議員会館403号室
立花孝志
電 話 080-2508-9347
FAX 03-3591-2300
〒277-0〇〇〇
千葉県柏市〇〇〇〇〇〇
被告 選挙ウォッチャーちだい
こと 石渡智大
損害賠償請求事件
訴訟物の価額 1,400,000円
貼用印紙額 12,000円
請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、金140万円及びこれに対する令和元年12月23日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする
との判決並びに仮執行の宣言を求める。
請求の原因
1 当事者
原告は、国会議員2名の他、地方議員を複数名擁する国政政党の代表者で前参議院議員である。被告は、選挙ウォッチャーちだいの名称で、いわゆるブログなどを定期的に掲載する自称記者である。
2 名誉毀損行為
⑴ 令和元年12月23日、被告は、自らが管理するブログに甲第1号証の記事(以下「本件記事」という。)を掲載した。
同記事は、有料とされているが、被告が指定する金額さえ支払えば、誰でも読むことができるものであり、コメント欄を見ると、現実に複数の人物が読んでいることが確認できる。
⑵ 本件記事中には、以下のような表現が掲載されている。
「この手紙が真実だとすると、この作成を企画立案したのは立花孝志代表の恋人である美人司法書士加陽麻里布さんであり、立花孝志代表自らが実行犯である上に、牧原会社に指示を出し、コールセンターが組織ぐるみでパンフレットを送り続けていた組織犯罪です。」
「僕の両親にストレスを与え、死ぬことを喜ぶような腐れ外道ぶり。」
「他人のために1300冊以上のパンフレットを1人のターゲットの自宅に送り続けられる人間なんて滅多にいるものではありません。」
⑶ 本件記事を文面に従って読めば、被告は、被告に送られてきたとする「1300冊以上のパンフレット」を、NHKから国民を守る党(以下「N国党」という。)代表者である原告による指示の下、N国党関係者が送ったものとして本件記事を掲載しているものと理解することができる。原告が関与して、被告に対する嫌がらせを執拗に繰り返してきた内容として本件記事が掲載されているのであるから、これにより、原告の社会的信用が低下することは明らかである。
⑷ なお、被告は、本件記事中で「この手紙が真実だとすると」として、被告宛に届いたとする手紙の信用性如何に関わるかのように一定の留保を付しているようではあるが、「これまで大量に送りつけられているパンフレットの犯人が、ついに明らかとなります。しかも、ただ犯人が特定されるだけではなく、どうして僕の自宅兼事務所に大量のパンフレットが送りつけられることになったのかまで、非常に細かく明らかになります。はっきり言いましょう。立花孝志代表も、NHKから国民を守る党も、全員がこれで終わりです。」「与えられた損害は非常に大きい。さあ、しっかりと責任を取ってもらいましょう。」とも記載されているなど、記事を全体として読めば、原告が関与しているものと断定しているのであるから、嫌がらせをしていた「疑い」という程度を越えて、原告の指示の下、N国党関係者が嫌がらせを繰り返していたことそのものを意味するものと理解する他ない。
⑸ 以上のとおり、被告は、不特定多数の人物に向けて、原告が関与して被告に対して嫌がらせを繰り返したものと断定する記事を公表したのであるから、原告の社会的信用を低下させるものであり、名誉毀損にあたり、不法行為が成立することは明らかである。
3 免責要件について
⑴ 上述したとおり、本件記事が原告の社会的信用を低下させることは明らかであるところ、原告が国政にも参加している政党の代表者であることなどからして、判例上確立されている名誉毀損の免責要件に該当するかどうかが問題となる。
⑵ まず、いわゆる①公共性、②公益目的の要件に関しては、原告が国政政党の代表者でもあることからすれば、いずれも認めざるを得ない。
⑶ しかしながら、本件記事は事実ではないから、③真実性の要件は満たさないし、被告が、匿名で被告宛に届いたとされる手紙のみを根拠にして、原告が嫌がらせを繰り返していたものと断定していることからすれば、いわゆる、③真実相当性の要件を満たすこともない。
なお、本件記事には、N国党に間接的に関わる訴外加陽麻里布(以下「訴外加陽」という。)からの指摘について一応触れてはいるものの、原告から何ら事情を確認していないというばかりか、N国党に所属している党員からも一切事情を確認したという事実はないのであるから、こうした被告の杜撰極まりない取材姿勢からしても、真実相当性など認められるべくもない。
4 損害
⑴ 本件記事は、全くもって事実無根であるうえ、「組織犯罪です。」などとして、犯罪にあたるかのような表現まで使用しているのであるから、これにより低下する社会的信用の程度は著しく大きいものという他ない。
⑵ しかも、原告は、現在、いわば新興の政党の代表者という立場で、これから社会からの信用を得ようとしている段階で、根も葉もない虚偽の事実を公表されたというのであるから、今後の政治活動にも大きく影響が生じるであろうことは容易に想像されるところである。
(3) 以上の事情からすれば、本件記事が掲載されたことによる慰謝料の額は140万円を下ることはない。
5 結語
以上のとおりであるから、原告は請求の趣旨記載の判決を求める。
証 拠 方 法
甲第1号証
本件記事「NHKから国民を守る党・動向チェック」と題されたもの
付 属 書 類
1 訴状副本 1通
2 甲号証 各1通
以 上