石破 茂 です。
当然のことながら予算委員会はなるべく離席せず、質疑を聴くようにしておりますが、かつての予算委員会とは随分と様変わりしたように思われます。かつて自民党予算委員は、理事は勿論のこと、委員もほとんどが大臣経験者という重厚な構成で、当選期数の若い議員は差し替えで座る以外、まず予算委員会には所属出来なかったものですが、良し悪しは別として今は期数の若い議員の姿が目立ちます。閣僚経験者が質疑に立つ機会も少なくなっているようです。
野党がこの有り様である現状においては、与党、とりわけ自民党の中から政府をチェックする姿勢を示すことが重要です。政府も無謬でない以上、答弁の内容や論理構成で改善すべき点は糺していかなくてはならないのであり、あらゆる答弁に「よし!」とか「そのとおり!」などという与党席からの合いの手が入ることには少しく違和感を覚えます。
発言の機会のないままに予算委員会に座っているのはやや負担ではありますが、質問者の質問や、総理・閣僚の答弁を聞いていて、自分ならどのように問い、どのように答えるかを考えるのはとても勉強になります。かつて安全保障委員会の理事を務めていた時、当時の久間章生防衛庁長官の隙の無い、緩急をよく弁えた答弁からは多くのことを学び、貴重な糧を得ました。我が国は現在、中国からの入国者について湖北省からの方の入国拒否としていますが、同省の他にも、感染が蔓延しつつある地域へ拡大することも早急に検討すべきです。併せて医師不足や対応機材の不足が深刻となっている中国への支援はさらに積極的に行わなければなりません。狭隘な嫌中論より、その方がよほど国益に適うものと考えております。また前回、憲法改正の緊急事態条項との通底性を指摘しましたが、この機に乗じて緊急事態条項の議論を俎上に載せるべきものでもありません。それではかえって議論の真っ当な進捗を遅らせることになるものと考えております。
トランプ大統領の弾劾審議は上院で「無罪」が確定し、秋の大統領制に向けて攻勢を強めると報ぜられています。他国の政治に言及すべきではありませんが、最側近であったボルトン氏の証言を共和党が拒否するなど、どうにも釈然としないものが残ります。トランプ大統領が下院で一般教書演説原稿をペロシ議長に渡した際、握手を求めた議長を大統領が無視し、演説が終わった直後に今度は議長が原稿を破り捨てる、という映像は実に異様なものでした。アメリカ国内の対立と分断、人心の荒みは一体誰が引き起こしたものなのか、そしてこれでアメリカは何処へ向かっていくのか、世界はどうなるのか、強い不安を感じた光景でした。
今日の予算委員会の一般質疑は「桜を見る会」に関する公文書管理についての北村誠吾担当大臣の答弁で紛糾し、結局休憩のまま散会になってしまいました。北村大臣は人格の優れた気骨のある方で、私はかねてより敬愛しており、ご自身が大臣として対応していた時のことでもない「桜を見る会」関連で追及されているのを見ると同情を禁じ得ません。
今週は予算委員会の審議出席にほとんどの時間を費やしましたため、記述が簡略かつ粗雑になってしまいました。ご容赦くださいませ。
先週末の日程が少しハードだったせいか、少し体調を崩してしまい、週末は9日日曜日の元自民党総務会長・村岡兼造先生のご葬儀に参列する日程(午後1時・秋田県由利本荘市)のみと致しました。慶應義塾の大先輩であり、運輸・建設関係に強かった先生には、私がまだ若かった頃、地元の案件でわざわざ鳥取までお越し頂き、現地を視察後、陳情を受けて頂いたこともありました。このようなご恩は大切にしなければならない、といつも自分に言い聞かせております。
立春も過ぎましたが、都心は今季一番の寒さとなりました。地元鳥取市でも昨6日、今年初の6センチのまとまった積雪となったそうです。
皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。