第1137号 石丸現象と山下県政

 都知事選は小池氏の圧勝に終わりましたが、前安芸高田市長の石丸氏が2位となったことが波紋を広げています。

◆石丸氏の手法
 石丸氏は無党派層の中から約4割、10~30代からは全候補者中最多の支持を得るなど、大きく躍進しました。人気の要因は、「ハッキリ物を言う」ことが挙げられます。安芸高田市長時代には、居眠り議員を「恥を知れ」と一喝したり、議会と対立している様子などが、短く編集された切り取り動画で拡散され、多くの視聴数を稼いで名が知られるようになりました。

 とりわけ今は、与党は裏金問題に代表されるような、既得権の維持や保身に走るだけ、野党も批判と反対ばかりで建設的な議論ができない、という印象が持たれています。その中で、臆さず言葉を発する石丸氏は有権者にとって痛快に映り、停滞している「政治の膿」を一掃してくれる、と期待が集まったのでしょう。この点は、今まで政治家として活動してきた我々も大いに反省しなければならないところです。

◆論破は民主政治ではない
 しかしながら、石丸氏の動画から得られる爽快感は、相手を攻撃し、「論破」することで生まれており、具体的な政策を説得力ある言葉で語るというよりは、強い言葉を用いて相手を黙らせる、論点をずらして自分の中で完結する、という印象の方が強いと感じます。

 そうした点は、都知事選後のインタビューでも数多くの人に指摘され、インタビュアー相手に難癖をつけたり、論点をずらすなどの話し方が「石丸構文」と名付けられるまでに至っています。

 話し合いや調整を「馴れ合い」として攻撃するのは簡単ですが、政治、特に自治体の首長は、住民の中に多様な考え方があり、様々な利害関係者がいる中で、対立する意見にも耳を傾け、できるだけ多くの人が納得できる着地点を見つけ、導くことが大きな役割です。権力を持つものが相手を論破し、黙らせるというのは、ある種暴力的な手法で、民主政治とは言い難いのではないかと感じます。

 そして、政治家としての実績への評価に関しても、石丸氏辞職に伴って行われた市長選で、石丸氏を批判する候補が当選するなど、市政そのものが評価されていたとは言えない結果になっています。

◆対岸の火事、ではない
 この攻撃と論破の政治は我々の身近にも起きています。

 大阪では多数の反対意見にもかかわらず、万博計画が強行されていますし、奈良でも、地域を回っていて、今の県政は中止や対立の印象が強く、丁寧さが足りない、といった不満を多く伺っています。

 例えば、五条の防災拠点建設問題に関して「知事が変われば方針も変わるのは当たり前」と言い放ったり、事業に対する丁寧な説明を県内の市町村に行う意思があるか問われた際に「何をもって丁寧か、客観的基準はない」とはぐらかしたりするなどの知事の姿勢が住民の不満となって表れていると感じます。

 今回の都知事選は、あえて奇抜な行動で「炎上」し、注目を集めようとしているとしか思えない者が多数立候補するなど、想定外の問題が多い選挙でした。

 政治という場において、自らの考えを発信することはとても大事ですが、本当に大切な議論が、中身のないパフォーマンスや、他者への攻撃と「論破」にかき消されるようなことがあってはなりません。

 面白さ、痛快さに引っ張られて、気が付いたときにはとんでもないことになっていた、ということにならないよう、私自身は地元を丁寧に歩き、頂いた声を地道に発信する活動を続けていきたいと考えています。

 

スタッフ日記「誕生日を迎える前に」
 まだ梅雨はあけていませんが、35度を超える暑い日が続いています。

 夏生まれの私は、寒さに弱く、暑さには強い方だと思っていましたが、近年の暑さは厳しくて体にこたえるようになりました。

 もうすぐまた1つ歳がふえます。手放しでよろこぶ年齢はすぎましたが、それでもなんとなくウキウキします。こうして健康に今年もその日を迎えられることにも感謝しています。

 昔は早く大人になりたいと思っていました。人は年齢が大人になれば大人になるものだと思っていましたが、全然大人になっていない自分がいます。

 ココ・シャネルのことばに「20歳の顔は自然からの贈り物、30歳の顔はあなたの人生。でも、50歳の顔はあなたの功績。」という言葉があって、この言葉を知った20代のころは、素敵な50歳になれるようにがんばろう!!などと思っていたことを思い出します。

 時間を戻すことはできませんが、これからをどう過ごすかは自分次第ですね。いくつになっても前向きに、そして今が1番楽しい!と思えるような毎日を過ごしていきたいなあと思います。

 先日「誕生日は、自分を生んでくれた母に感謝する日でもある」と気づかされる出来事がありました。日頃は自分のことで慌ただしくしていて、そういう感謝の気持ちをついつい忘れがちになりますが、これからはお祝いしてもらうばかりではなく、母に感謝の気持ちを伝える日にしていきたいなあと思います。

 ちなみに、先月、まぶちに4人目のお孫さんが生まれました。これからが楽しみですね。(まあちゃん)

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