第926号 現金給付と減税を今すぐに!

 新型コロナウイルス感染者は日々増加を続け、東京では「感染爆発の重大局面」を迎えて、都市封鎖の可能性が指摘されるなど、緊張が高まっています。

◆現金を即給付せよ
 国民の生命・健康が脅かされている今、感染拡大を防ぐため、ある程度の経済活動を停止することはやむを得ない状況です。そして、政府や自治体は、単なる自粛要請だけではなく、経済活動停止により冷え込む国民生活を、「即時・直接」に支援することが必要です。

 格差拡大のため、貯蓄の無い世帯は年々増加し、全体の2~3割に上っています。こうした方々の中には、今回のコロナ自粛により収入が激減し、月末の家賃や公共料金支払いに苦慮されている方も数多くおられます。政府与党は現金の一律給付を見送る方向で、代わりに一定の所得制限を設けた上での現金給付や、「お肉券」、「お魚券」といった商品券の配布を検討しているようですが、商品券だと使い道が限定されることに加えて、限定的な現金給付を行うためには、所得の調査に時間がかかり、実際の給付まで数か月必要なので、今困っている人に即時に届きません。これでは緊急対策としてあまりにも的外れと言わざるを得ません。

 危機の時にはとにかくスピードが必要です。緊急対策として全員一律に即時給付した上で、富裕層に対しては今後の納税で給付分を調整するなど、臨機応変の対応が必要です。また、現金の振り込みには時間がかかると言われますが、政府が振り出した小切手を直接郵送で配布し、換金してもらうなど、代替手段は考えられます。とにかく「即時・直接」に、国民にお金を届けねばなりません。

◆給付と消費税減税をセットで
 即時の現金給付とセットで必要なのが減税です。現金給付は即消費につながりますが、一過性に過ぎません。継続的に消費を促し、生活への安心感を高めるためには、やはり減税、とりわけ日々の消費に直結する消費税減税が必要です。

 消費税減税が対コロナ緊急対策に有効かどうかは、26日に開かれた消費税減税研究会でも議題に上りました。外出自粛などで消費そのものを控える傾向が強まる中、消費税減税は効果が小さいのではないかという意見が出ましたが、講師にお招きした社会保障がご専門の学習院大学教授鈴木亘先生からは、消費税減税には即効性があり、国民へのアナウンス効果も大きいことから、緊急対策として有効である旨のご説明を頂きました。私も同じ意見で、政治が減税により国民の生活を守る明確な意思を示すことが、一過性に留まらない、中長期的な消費の回復につながると確信しています。

 消費税減税研究会は、いよいよ「本丸」とも言える、消費税と社会保障の関係について議論を進めています。鈴木先生からは、増大する社会保障費用を賄うためには、消費税増税によって税収を確保するしかないという「ウソ」について、明快なご説明を頂きました。その内容を踏まえて、来週からは取りまとめに入ります。減税への機運が高まっている今が、勝負の時だと考えています。

 

スタッフ日記 「ここが正念場」

 連日報道されているコロナ問題は、東京オリンピックの開催延期にも及び、首都圏では週末の外出自粛が要請されました。

 開催延期に伴って奈良でも4月12日から予定していた39名のランナーによる聖火リレーも延期となり、イベント中止・縮小が政府より要請されて以降、入国制限国が追加されるなどの影響で、今後も観光地奈良として正念場が続くことが予想されます。

 先日、県内の宿泊業界はキャンセルや予約数の大幅な減少から、県に長期的な観光振興策の要望を行いました。奈良県旅館・ホテル生活衛生同業組合の3月12日時点の調査では、回答があった38施設で1-5月に計9万7144人の宿泊キャンセルがあり、その額は約10億円にまで上っています。ここ数年の外国人観光客の急増に伴い、県も宿泊施設増加や外国人富裕層向けの情報発信などインバウンド中心へシフトしてきました。

 そんな矢先の未曾有の事態に、奈良市内でも飲食業と兼業でならまち界隈や京終駅周辺に簡易宿泊施設所やいわゆる民泊を営む経営者も多く、昨年はひと月に200人近くいた宿泊者が、一桁に近い数字にまで落ち込んでいるのが現状です。また、奈良公園や東大寺周辺の土産品店では、収入が8割減するなど、鹿せんべいを目当てに集まる国の天然記念物奈良の鹿にまで影響が及んでいます。

 今後、県からは収束後の観光宿泊を中心とした割引キャンペーンや、地産地消対策、地場産業育成をどう考えていくのか、県外就業率の是正を含めた中長期的な政策の検討が行われていきます。ここが正念場、がんばろう奈良!(特命係長)

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馬淵澄夫
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