未来をひらくために――『武器としての世論調査』もう一つの「あとがき」

ぼくが天体の物理学の研究に進んだちょうどその年に原発事故が起きてしまい、目まぐるしい日々が過ぎた後、大学院を卒業するときに提出した書類に書いた進路は「詩人」でした。

詩や純文学の小説にある言葉は、政治の場面とは違った使われ方をします。しかしそれはフィクションだとか、幻想だとかいった意味ではありません。それは、政治の言葉が集団のなかで使われるのに対して、文学の言葉はあくまで個人によって使われるものだというような意味合いです。誤解を恐れずに言うのなら、政治の言葉が前提となる価値観の上で放たれるのに対して、文学の言葉はそうした前提をもたない場所で、想いや体験などのなにか個人的な価値を探り、形にしようとして呟かれるものということになるのかもしれません。


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