ぼくは簡単に世界を割り切りたくないんだ

 中学時代のあるクラスメイトのアイコンがドナルド・トランプになっているのを見た。たいして遊んだわけでもない、喧嘩をしたわけでもない、少し勉強を教えたり教えられたりしたような友達がトランプ支持になった。全く分からないわけではないように感じられた。あの映画的な迫力を持つ政治家に惹かれていく同世代の気持ちは。太平洋の対岸にいる政治家を応援する人があれだけ現れたこと自体、現代の日本の停滞や鬱屈とした雰囲気を象徴する出来事なのではないだろうか。

 日本に現れたトランプ支持者たちは、トランプが自分の生活のために何かをしてくれたという実感を持っていない。だから支持といっても中身がないまま一方的に幻想をつくりあげているわけで、そうした心理には危うさがついてまわる。


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