2019年5月13日に発表された内閣府による景気動向指数の基調判断が「景気は悪化」に引き下げられました。
景気悪化という基調判断は6年2ヶ月ぶりで、これまで「実感なき景気回復」と言われてきましたが、そのまま「悪化」となってしまうのでしょうか。
国民の個人消費は落ち込んではいませんが、輸出と生産が落ちています。これは海外需要が減ってきたことが原因です。
「景気動向指数」と「景気が実際に落ち込むか」は別です。とは言っても、この2つには強い関連性があります。
日本経済新聞によると「悪化」の判断は過去に2回あり、2008年6月~2009年4月のリーマン・ショック時と、2012年10月~2013年1月の欧州債務危機時です。いずれも事後の判断においては「景気後退期」となっています。
実際、「景気がどうなるのか」ですが、先週も取り上げましたが、米中閣僚級協議が不調に終わったことで、 株価がどんどん下がっています。2019年5月13日の NYダウ平均株価 の終値は前週末より617.38ドル安で大幅下落しました。一方、日本では5月13日まで日経平均株価が6日連続で下落しており、7日目の5月14日9時40分現在の株価は2万793円です。これは、2019年5月13日より398.28円安で2万1000円を割り込んでいます。
また5月10日にアメリカが中国へ追加関税をスタートしたことに対して、中国が2019年6月1日からアメリカの輸出品に対して報復措置を行うことを発表しました。
さらにアメリカはこの中国の報復措置に対し、2019年5月14日に第4弾の制裁関税として、アメリカが中国から輸入している全製品に関税をかけることになりました。米中の貿易戦争はどんどん悪化しています。景気判断指数には、米中の報復関税のかけ合いが加味されていないため、さらに景気が悪化に向かうことが予想されます。
さて、今後注目すべき点は、政府が毎月発表している月例経済報告において「景気は悪化」と表現するかどうかです。その見方には二つあります。
1つ目は「悪化しない」と表現することです。
それは政府が「悪化」と言うことにより「悪化マインド」に火がつくからです。2つ目は、あえて「悪化」とスピーディーに表現することです。それは今年10月の消費税引き上げへの影響を考えているからです。
昨日の日経・読売・朝日・毎日の新聞朝刊各紙は記事の中で消費税の影響に触れていますが、見出しには記載されていません。唯一産経新聞のみ「消費増税判断に影響も」と見出しにあります。
消費税が上がらなければ嬉しいという人も多いと思いますが、その場合は景気が悪化することにつながります。
どっちがいいのかっていうのも変ですが、皆さんはどう考えますか。
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