マツコ・デラックス訴 状

訴 状

令和2年2月28日

東京地方裁判所 民事部 御 中

 

原告訴訟代理人 弁護士 村 岡 徹 也

 

〒273-8506 千葉県船橋市本町一丁目11番29-101号

原 告 NHKから国民を守る党

上記代表者 立 花 孝 志

 

〒124-0024 東京都葛飾区東新小岩一丁目1番1-401号

原 告 マツコ・デラックス被害者の会株式会社

上記代表者代表取締役 立 花 孝 志

 

〒 105-0001 東京都港区虎ノ門五丁目11番15号虎ノ門KTビル2階

アジア国際総合法律事務所(送達場所)

上記原告訴訟代理人弁護士 村 岡 徹 也

 

〒102-0083 東京都千代田区麹町一丁目12番地

被 告 マツコ・デラックス こと 松 井 貴 博

 

〒102-0083 東京都千代田区麹町一丁目12番地

被 告 東京メトロポリタンテレビジョン株式会社

上記代表者代表取締役 後 藤 亘

損害賠償等請求事件

訴訟物の価額 金8万3000円

貼用印紙額 金1000円

 

請 求 の 趣 旨

 

1 被告らは、原告NHKから国民を守る党に対し、金1000円及びこれに対する令和元年7月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 被告らは、原告マツコ・デラックス被害者の会株式会社に対し、金8万2000円及びこれに対する令和元年7月29日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3 訴訟費用は被告らの負担とする。

4 この判決は、仮に執行することができる。

との判決を求める。

 

第1 請 求 の 原 因

1 当事者

(1) 原告NHKから国民を守る党は、NHKの受信制度について、多くの国民及び視聴者が真剣に考える機会を提供するために立花孝志によって設立された団体であり、所属国会議員2名を擁する国政政党であり、公党である。

(2) 別紙3に記載する本訴請求の損害賠償請求権者ら82名(以下、「本件被害者ら」という)は、令和元年7月29日以前から、「NHKから国民を守る党」を支持する日本国籍を有する有権者である(甲1)。

(3) 原告マツコ・デラックス被害者の会株式会社とは、NHKから国民を守る党を支援する有権者らから、本訴請求にかかる損害賠償請求権を譲り受け保有するために設立された株式会社である。なお、同社は、設立日である令和元年1

1月1日に、原告訴訟代理人と委任契約し、本訴請求にかかる債権の管理と回収業務一切を、弁護士へと委託した(甲2)。

(4) 被告マツコ・デラックスこと松井貴博とは、日本のコラムニスト、エッセイスト、タレント、司会者などであり、その人物としての評価は高く、広くご意見番として、国民の人気を集める人物である(以下、「被告マツコ」という)。

(4) 被告東京メトロポリタンテレビジョン株式会社とは、放送法による基幹放送事業を行う株式会社である(以下、「被告東京MX」という)。

 

2 被告東京MX及び被告マツコによる番組内での名誉毀損・侮辱発言

(1) 『5時に夢中!』は、被告東京MXで生放送されている情報番組であり、本訴対象となる発言は、令和元年7月29日に生放送された内容である。

(2) 被告マツコは、『五時に夢中!』の月曜レギュラーコメンテーターとして、出演しており、被告東京MXとの間で、番組出演契約を継続的に締結し、報酬を継続的に受領している。

(3) 本件の前提事実として、令和元年7月21日に行われた参議院議員選挙の結果は次のとおりである(公知の事実)。

被告らは、こうした下記選挙結果についての発言をしたものである。

ア 有権者数 105,886,063人

イ 投 票 率 48.8%

ウ NHKから国民を守る党の獲得票数

① 選挙区 1,521,344.000票(全体投票数の3.02%)

② 比例区 987,885.326票(全体投票数の1.97%)

エ 本選挙の結果、全国比例で党首の立花孝志が当選し、NHKから国民を守る党は、既に衆議院議員としての資格を持つ丸山穂高と、当選した立花孝志2名の国会議員を要する公党となり、法人格を得た。

 

(4) 被告らの本件発言の内容

被告マツコ及びその出演者らは、令和元年7月29日月曜日の『5時に夢中!』番組内において、「8位 東京スポーツ N国党の“NHKをぶっ壊す!”小中学校の間で流行」とのテーマとして、別紙1のとおり発言し、被告東京MXは、この発言を生放送した(以下、番組内での発言全般を「本件発言」という)。この点において、被告らの不法行為は、客観的に共同して行われている。

 

 

3 放送法4条について

放送法4条は、次のとおり規定する。

(国内放送等の放送番組の編集等)

第4条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。

一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

二 政治的に公平であること。

三 報道は事実をまげないですること。

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

 

 

4 被告東京MXの社内倫理憲章

被告東京MXは、放送法4条などを踏まえ、自社規律と視聴者への確約事項として、自社の放送における倫理基準を別紙2のとおり定めている(被告東京MXホームページより抜粋)。

 

5 被告らの名誉毀損・侮辱について

(1) 表現の自由と公共の福祉

放送は言論媒体であり、放送についても憲法で定める基本的人権である言論の自由が保障されるべきことは言うまでもない。しかし、この自由も絶対的なものでなく、その濫用が許容されず、その行使が一定の公共の福祉に適合すべき制約を有している。また、放送は、不特定多数に対し同時に同じ情報を安価に提供可能であり、かつ家庭において容易に受信が可能であるという物理的特性から大きな社会的影響力を有しているとともに、特に無線の放送は、有限希少な国民的資源である電波の一定の帯域を排他的かつ独占的に占有している。したがって、公平及び社会的影響力の観点から公共の福祉に適合することを確保するための規律を受けることとされている。

(2) 放送事業者に課せられた義務

この趣旨から規定されたものが、放送法4条であり、上述の電波の特殊性や、一般国民に向けられた影響力の大きさなどにより、国は放送事業者に対し、同条に定める義務を課し、本条違反が重大で将来に渡り再発防止策が十分でないなどの事情の存する場合は、総務大臣は放送事業者に放送業務の停止処分を命ずることもあり得る(放送法174条)。

(3) 被告東京MXが国民に確約した自主規制・倫理基準

また、被告東京MX自身も、そうした諸規定を重要視し、自主規制を設け、この倫理基準を果たすことを国民に約束し、放送の信頼性を維持するに努めていることは、別紙2の被告東京MXの倫理基準からも明らかである。

(4) 放送法4条及び、自主規制・倫理基準に対する重大な違反行為

しかしながら、本件発言は、こうした放送事業者に課せられた義務を明らかに逸脱し、原告NHKから国民を守る党のみならず、NHKから国民を守る党を支援する有権者らに対しても、「選挙にふざけて行っている。」「気持ち悪い。」「宗教的である。」などと、特段の根拠、具体的な証拠をあげることな

く、ただ、被告マツコや、番組出演者らの「印象」「先入観」のみによって、事実の適示及び悪評価の意見・論評を示し、原告らの社会的評価を著しく低下させた(甲1)。

(4) 本件被害者の範囲・特定

本件発言は、NHKから国民を守る党の支援有権者に対してなされた点では、広範に及ぶものの、過去の裁判例を基準とすれば、本件発言による被害者は、「NHKから国民を守る党を支援する日本国の有権者」という程度で、原告らを特定するには十分である。

(5) 被告らの不誠実な対応と、紛争回避を怠った反社会性

さらに、原告らは、本訴提起に至る過程において被告らに対し、本訴は被告らの放送事業者としての違法行為を社会的に是正するために提起するものであり、被告らから、何らかの手段によって公に謝罪の意思表明があるならば、本訴提起も一切の訴訟活動も行わないと二度にわたり、通知した(甲3、甲4)。

しかしながら、被告らは、こうした原告らの謝罪要求や、訴訟回避の和解解決の提案に対し、何の返答も対応もせず、無視し続ける態度をとり続けた。

こうした事情下において、被告らの違法行為は著しく、原告及び本件被害者らに対して、犯罪行為として、名誉毀損罪、偽計業務妨害罪が成立することはもちろん、何の謝罪もなく、これを放置し続けている点で、もはや日本の放送事業者としての適性を著しく欠くに至っていると非難せざるを得ない。

(6) 本訴提起に至る根本原因

本件被害者らが、なぜ本訴提起に協力し、損害賠償請求権を原告会社に譲渡したのか、言うまでもなく、わずか1000円と言う金銭的対価を得たいがためなどでは決してない。

本訴に参加した82名は、自らの身分を明らかにして、被告らに怒りをぶつけているのである。日本の放送事業者として、マスメディアとして、将来に渡り、その存在と社会的責任を果たすことを求めているからこそ、今ここで本件

発言を素直に謝り、再発防止に努めると国民に約束して欲しいと、願って活動しているに他ならないのである。

被告らは、日本のマスメディアとして、責任ある立場を自覚し、公に本件を謝罪し、二度と偏向報道をしないと、国民に対し、意思表明をすべきである。

万が一、本訴に対し、被告らが謝罪意思が一切なく、争う態度を示すのであれば、もはや被告らは、本件発言を誤って行ったなどと、本件が生易しい事案でないことが明らかとなる。

むしろ、被告らは、今後も公共の電波を用いて、偏向報道、印象操作を行う積極的意思があると認めざるを得ず、もはや日本の放送事業者としての資格を保持するに資格のない存在と言わざるを得ない。

 

6 損害

(1) 以上のとおり、本件発言は、本件被害者らの実名を特定されたものではないものの、これを裏付ける根拠や、意見、反論など一切の紹介なく、ただ漫然かつ、一方的に行われた点で、悪質と言わざるを得ず、そして、放送法4条に定める放送番組において放送事業者が遵守すべき準則を明確に逸脱した番組内容であったことなど、諸般の事情を考慮すれば、本件被害者らの精神的苦痛を慰藉するためには、被害者一人につき、少なく見積もったとしても、金1000円の慰謝料をもって相当とすべきである。

(2) 以上より、原告NHKから国民を守る党の被った損害は金1000円であり、原告マツコ・デラックス被害者の会株式会社が、本件被害者ら82名から譲り受けた各1000円の損害賠償請求権の合計額金8万2000円が、原告らの主張する損害額となる。

 

7 債権譲渡

(1) 本件被害者らは、令和2年2月15日から同年2月末日にかけて、別紙3の

債権譲渡人一覧のとおり、各自が本訴請求にかかる損害賠償請求権を、原告に対価金1000円として、債権を譲り渡した(甲5)。

(2) 本訴原告訴訟代理人弁護士は、令和2年2月27日、前項の債権譲渡について、債権譲渡人らの委任を受けて、民法467条所定の債権譲渡通知を被告らに通知し、同通知書は、同年2月28日に被告らに到達した。

 

8 結論

よって、原告らは、被告らに対し、請求の趣旨記載のとおり、損害賠償等の支払いを求める。

 

証 拠 方 法

 

別紙証拠説明書のとおり

 

 

附 属 書 類

 

1 訴状副本 1通

2 各甲号証の写し 各2通

3 資格証明書 3通

4 訴訟委任状 2通

 

 

 

 

 

令和元年7月29日(月) 別紙1

東京MXテレビ 「 五時に夢中! 」

番組における発言要旨

 

【 見出し 】

8位 東京スポーツ

N国党の“NHKをぶっ壊す!”小中学校の間で流行

 

【発言内容】 無記載の発言がマツコ・デラックス氏のもの。下線は原告による。

 

これからじゃないですか。

この人たちが本当にこの目的のためだけに国政に出られたら、

それに税金を払われたら、受信料もそうだけど、そっちの方が迷惑だし、

一体これから何をしてくれるか判断しないと、

今のままじゃねえ、ただ気持ち悪い人たちだから

 

コメ 票数が伸びた一因ってなんだと思いますか。

 

・・・さぁ、ははははは、何だろう、ひかやし、ひやかしじゃない!

もちろん、だから受信料を払うことに対し、疑問を持っている真剣にそう思ってる人もいるだろうけど、なんか、ふざけて入れている人も相当数いるんだろうな、とは思う。

 

コメ ほ~

 

女 そうなのだから、その国民の不満だったり懐疑点なものに、訴えかけるんだったら、あの政見放送はなかったよね。

 

そうそう、だから~でもだから、逆に言うと、まじめにNHKの受信料の問題に語ったとして、そしたらここまで話題になったかってなると、ここまで話題になったかって言うと、難しいから、あの気持ち悪い政権放送で、それで効果も出たっていう意味もあるですよね。

うん。

 

女 そうね~

 

コメ まあ、色んな感じ方はあるんだと思いますが、きほん疑問を頂かずに感情移入をできた人も少なくなかったという・・・

 

女 いや、あたし

 

いやぁ、あれで!

 

 

 

女 NHKをぶっ壊すというところまではいいよ。今までも自民党をぶっ壊すみたいな言葉にかけてるんだと思うんだけど、笑顔が、見た?顔。

 

あのちょっと、だぁ、ちょっと宗教的な感じもあるんだと思うんだよね。そのぉ、NHKをぶっ壊す教みたいな。

 

女 「NHKをぶっ壊す!」みたいな。

 

コメ うん~

 

ね、あの、ちょっと気持ち悪いみたいな。

この人も気持ち悪いんだけど、女性も何人かすごい人いたよね。

いたいた。

だからこうやって楽しんでみちゃっているなんか側面はあるわけじゃないですか。

だって、だからこうやってなんか騒いじゃっている時点でもうある意味彼らの思うつぼ、なのではないかなと。

 

コメ うん、ありがとうございます。