またまた選挙ウォッチャーちだいこと石渡智大氏が提訴されました。 昨年12月23日の記事が不当と原

訴 状

令和2年11月4日

松戸簡易裁判所民事部 御中

原告訴訟代理人弁護士 山 本 麻 白

原 告 〇〇 〇〇

〒116-0012 東京都荒川区東尾久8丁目35番12号尾久ハイム101

ホワイト法律事務所(送達場所)

上記訴訟代理人弁護士 山 本 麻 白

電 話 0120-961-159

FAX 03-6632-4124

〒277-〇〇〇〇 千葉県柏市〇〇××××番地の××

被 告 石 渡 智 大

慰謝料等請求事件

訴訟物の価額 1,101,320円

ちょう用印紙額 11,000円

 

第1 請求の趣旨

1 被告は,原告に対し,金1,101,320円及びこれに対する令和元年1

2月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言を求める。

第2 請求の原因

1 事案の概要

本件は,デジタルコンテンツ販売のプラットフォームである WEB サイト

https://note.com/(以下「note」という。)において,被告よりデジタルコンテ

ンツを購入した原告が,被告に対し,主位的に不法行為に基づき110万1320円及びこれに対する令和元年12月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,予備的に不当利得返還請求権に基づき1320円及び不法行為に基づき110万円並びにこれらに対する令和元年12月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

2 当事者

原告は,NHK から国民を守る党(以下「N国党」という。)に関心の高い,一般の男性である。令和元年 12 月 23 日まで,note 上で会員登録や記事購入を行ったことはない。

被告は,note 上で「チダイズム」の名称を用い,定期的にN国党に関連したデジタルコンテンツの有料配信を行う者である。

3 経緯

被告は,令和元年12月23日,note 上に,「【選挙ウォッチャー】 NHKから国民を守る党・動向チェック(#138)」と題した記事(以下「本件記事」という。)を有料で配信した(甲1)。

本件記事は,note の会員・非会員を問わず誰でも,導入部分のみ無料で閲覧することができる(以下「本件勧誘」という。)。本件勧誘には,下記の文言の記載があった(甲2)。

「いよいよ今日は「N国マガジン12月号」の最終回です。(被告宛に)これまで大量に送りつけられているパンフレットの犯人が,ついに明らかになります。しかも,ただ犯人が特定されるだけではなく,どうして僕(被告)の自宅兼事務所に大量のパンフレットが送りつけられることになったのかまで,非常に細かく明らかになります。はっきり言いましょう。(N国党代表である)立花孝志代表も,NHKから国民を守る党も,全員がこれで終わりです。」

令和元年12月23日,原告は,本件勧誘を受け,N国党に関し,「全員がこれで終わり」になるほどの重大な事実や,特定された「パンフレットの犯人」を知りたいと思い,note 会員登録後,購入申し込み画面に遷移,note 総則規約3.1(甲3)に定められた被告との契約(以下「本件契約」という。)を締結し,本件記事を含む「N国マガジン(2019年12月号)」の購

入代金として,金1320円を支払った(甲4)。

しかし,本件記事の有料部分は,被告宛に届いた大量のパンフレットに紛れた1通の匿名の手紙を紹介し,「パンフレットの犯人」について,N国党員が関与している等と勝手な憶測を述べたに過ぎないもので,余りに荒唐無稽な内容であった(甲1)。

原告は,その後,インターネット上で関係者の発言を追う等し,正しい情報を得るため奔走したものの,本件記事の内容に関し,事実無根であることが判明するばかりであった。

被告は,本件記事の制作・配信に際し,N国党員に事情を確認した事実等は一切なく,令和2年1月30日,N国党より名誉棄損による損害賠償等請求の訴えを提起された(甲5)。

なお,本件記事掲載から1年近く経過した現時点においても,本件勧誘にある「(被告宛に)これまで大量に送りつけられているパンフレットの犯人」や,「どうして僕(被告)の自宅兼事務所に大量のパンフレットが送りつけられることになったのか」については明らかになっておらず,またN国党は現在も立花孝志氏を代表とした公党として活躍しており,「立花孝志代表も,NHKから国民を守る党も,全員がこれで終わり」となった事実もない。

4 不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条,主位的請求)

(1)本件勧誘の違法性

ア.本件勧誘は,

1.「N国マガジン(2019年12月号)」を購入することで,本件記事の有料部分を見ることができる

2.これまで,被告の自宅兼事務所に大量のパンフレットが送りつけられてきた

3.本件記事の有料部分で,上記2.を行った犯人と,上記2.の状況になった経緯が明らかになる

4.本件記事の有料部分は,N国党及び立花孝志氏の政治活動を継続不能にする内容であるものと理解できる。

しかし,本件記事の有料部分は,上記2.を行った犯人と,上記2.の状況になった経緯について,事実無根な憶測を並べたものにすぎず,客観的に「明らかに」したとは到底言い難いものであった。また,現時点においてもN国党は健在であり,立花孝志氏の政治活動が継続不能になったという事実もない。

イ.原告は消費者(消費者契約法第2条1項),被告は事業者(同法第2条2項)である。

原告は,上記ア3.4.について,真実である,もしくは確実であると誤認し,その誤認に基づき,本件契約の申込みを行った。

 

従って,被告は,本件契約締結について勧誘するに際し,重要事項について不実告知(消費者契約法第4条1項1号),もしくは不確実な事項について断定的判断の提供(同法第4条1項2号)をした。

また,「この手紙が真実だとすると,」「信憑性は高い」「可能性が高いです」と言い,記事内容が不確実であるという認識を十分に有していながら(甲1),そのことを故意に告げなかったのであるから,不利益事実の不告知(同法第4条2項)をした。

ウ.本件記事の販売は,インターネット上で広告・契約の完結する通信販売(特定商取引に関する法律第2条2項)である。

本件勧誘の文言は,商品の性能又は権利若しくは役務の内容について,著しく事実に相違する表示若しくは実際のものより著しく優良であると誤認させるような表示に該当するから,特定商取引に関する法律第12条において禁止される誇大広告に該当する。

エ.被告は事業者(不当景品類及び不当表示防止法第2条1項)である。

本件勧誘の文言は,本件記事の有料部分が,実際のものよりも著しく優良であると誤信させて不当に顧客を誘引するものであるから,不当景品類及び不当表示防止法第5条において禁止される不当表示に該当する。

オ.原告は,もし上記ア3.4.について,本件記事の有料部分が勝手な憶測による内容であることを知っていたとするならば,わざわざ note に新規会員登録をした上,本件契約を締結するには至らなかった。

被告は,本件勧誘によって,上記ア3.4.が確実であるとの原告の錯誤を惹起し,原告に本件契約を締結させた上,代金を支払わせたのであり,本件記事の文言からは,詐欺の故意が認められる。

なお,被告は,本件記事を配信するに際し,SNSにて「世界が震撼する情報になることは間違いない」「たった 1320 円で最大 500 万円が救われるかもしれない。」と投稿している(甲6)。また,別の有料記事「【選挙ウォッチャー】NHKから国民を守る党・動向チェック(#212)」でも,記事の有料部分が「ちんこ。」というたった4文字であるにも拘らず,「裁判にも影響する重要なこと」「このマガジンを読んでくださっている方だけに特別な情報をお伝えすることにしましょう」等と勧誘している(甲7)。これらの事情からも,被告に詐欺の故意があることが推認される。

従って,上記行為は,詐欺である。

(2)原告の損害

ア.本件契約に際し,原告が被告に支払った1320円

イ.原告は,被告の行為により,大切なお金を奪われた上,関係者の発言を追う等して正しい情報を得るため奔走することを余儀なくされ,正しい情報を得,自分なりの政治的な主義主張を持ちたいという真摯な思いを,被告の安易な金儲けのために利用され踏みにじられた。このような仕打ちを受けた原告の悲しみや悔しさ,不快感といった精神的苦痛を金銭に換算すると,100万円を下らない。

ウ.原告は,上記アの1320円及び上記イの100万円を回復するために弁護士に本訴提起を依頼せざるをえなかった。その額は10万円を下らない。

原告は,上記(1)イ~オの違法行為によって,上記損害を被った。したがって被告は,原告が被った上記損害を賠償する義務を負う。

5 不当利得返還請求(民法703条,予備的請求)

(1)原告は,本件契約の申込みの意思表示に関し,本訴状の送達をもって,消費者契約法4条1項による取消,同法第4条2項による取消,民法第95条による無効,同法第96条による取消の意思表示とする。

(2)仮に,上記4(2)アに記載の本件記事の購入代金1320円につき,不法行為に基づく損害賠償請求が認められない場合には,予備的に,不当利得返還請求権に基づき,1320円の返還を請求する。なお,被告は,悪意の受益者である。

6 結論

よって,原告は,被告に対し,主位的に不法行為に基づき110万1320円及びこれに対する令和元年12月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,予備的に不当利得返還請求権に基づき1320円及び不法行為に基づき110万円並びにこれらに対する令和元年12月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,本訴に及んだ次第である。

証拠方法

1 甲1号証

2 甲2号証

3 甲3号証

4 甲4号証

5 甲5号証

6 甲6号証

7 甲7号証

附属書 類

1 訴状副本 1通

2 甲1ないし7号証(写し) 各2通

3 証拠説明書(原本) 1通

4 証拠説明書(写し) 1通

3 訴訟委任状 1通