2サイクルのユニフロー掃気(そうき)ディーゼルエンジンの頭文字UDの符牒(ふちょう)で知られた日産ディーゼル工業は最早、存在しません。スウェーデンはヨーテボリが本拠地のABボルボの完全子会社UDトラックスとして埼玉県上尾(あげお)市に本社工場を構えます。横須賀線と湘南新宿ラインの新川崎駅前が本社の三菱ふそうトラック・バスも、ドイツのシュトゥットガルトが本拠地のダイムラーが90%近い株式を保有する連結子会社。因みに「扶桑(ふそう)」は『山海経(せんがいきょう)』『淮南子(えなんじ)』『梁書(りょうしょ)』等に登場する東方の果ての巨木。中国に於ける日本の異称です。
弁証法(べんしょうほう)とは真逆(まぎゃく)な「日本凄いゾ論」信奉者が欣喜雀躍(きんきじゃくやく)する元号「令和」の由来らしき『万葉集』の「梅花(ばいか)歌三十二首」も実は、中国の『文選(もんぜん)』に含まれる張衡(ちょうこう)の『帰田賦(きでんのふ)』に倣(なら)い、王羲之(おうぎし)の『蘭亭序(らんていじょ)』を踏まえた代物と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」賛同者で文化勲章受章者の中西進氏は看破(かんぱ)。『万葉集』の東歌(あずまうた)が専門の品田悦一(しなだ・よしかず)東京大学教授も、「典拠(てんきょ)の文脈を精読すると<権力者の横暴を許せないし、忘れる事も出来ない>という政府関係者には思いも寄らなかったメッセージが読み解けます」と喝破(かっぱ)。
日本の国花は桜、皇室の紋は菊。他方で中国は梅と牡丹が双国花(そうこっか)。台湾の中華航空の意匠(マーク)も梅。「粘土細工の粘土を出しただけ」と煙に巻く中西翁の心中を大胆に忖度(そんたく)すれば、後に広島・長崎へ原子力爆弾を投下する国に今から107年前、首都ワシントンのポトマック川沿いに2千本もの桜の苗木を寄贈した島国が、チキンゲームの貿易戦争に突入中の米中二大経済大国の仲を取り持つ決意表明を隠喩(いんゆ)した、若(も)しや深謀遠慮(しんぼうえんりょ)の元号!?
その米中貿易戦争を奇貨(きか)として、来年1月の台湾総統選挙に立候補を表明したのが鴻海(ホンハイ)精密工業創設者 郭台銘(テリー・ゴウ)董事長(とうじちょう)の端倪(たんげい)すべからざる「レヴァレッジ(てこのげんり)」戦略。iPhoneの製造拠点を中国本土に設ける「チャイワン」の雄は日本のシャープも傘下に収めます。「米国第一主義」を掲げるドナルド・トランプ大統領の要請を受け、ウィスコンシン州での液晶パネル工場の建設続行を春節初日(きゅうしょうがつ)の全社忘年会で発表した彼は、他方で習近平総(シー・ジンピン)書記とも親密。ヘンリー・キッシンジャー氏が顧問委員会を牛耳る清華(せいか)大学の顧問委員も務めます。
1979年の元旦に米国と国交を樹立し、「改革開放」を掲げて国家資本主義の市場経済を導入した鄧小平(ドン・シャオピン)。その彼は中台統一を求める「台湾同胞に告ぐ書」も同時に発布しています。爾来(じらい)40年。更には中国建国70周年の今年。パラオ、ハイチ等17ヶ国に「国交」が留まる隘路(あいろ)から一気呵成(いっきかせい)に跳躍すべく台湾は「対中融和路線」の郭氏を戴(いただ)き、香港の轍(てつ)を踏まぬ形での「一国二制度」を具現化しようと歩み出す蓋然性(がいぜんせい)が高いのです。
東シナ海と南シナ海を結ぶ台湾海峡は、中近東から原油&LPGを輸入する日本に不可欠なシーレーン。これぞ米中日「GDP三大国」を手玉に取る梃の原理(レヴァレッジ)。翻(ひるがえ)って日出(ひい)ずる国ニッポン。国民1人当たり実質GDPは世界31位。「桓武(かんむ)天皇の生母が百済(くだら)の武寧(ぶねい)王の子孫であると続日本紀(しょくにほんぎ)に記されている事に韓国との縁(ゆかり」を感じています」とW杯日韓共催を翌年に控えた2001年12月、明仁(あきひと)天皇が述べた往時と異なり世界32位は韓国。
「株価が全て」と高言する日本。世界時価総額ランキング50位以内には45位トヨタ自動車のみ。計7社ランクインの中国と18位サムスン電子の後塵(こうじん)を拝します。経産省改め「傾惨省」の差配(さはい)で、ルノー傘下の日産自動車COOから産業革新機構会長に転じた志賀俊行氏が数千億円の血税を投じた「ジャパンディスプレイ」。「日の丸液晶連合」の御旗(みはた)を先月降ろし、台中勢3社連合の軍門に下った惨状も最後に記しておきましょう。