日沿連など

 石破 茂 です。
 さる21日夕刻、自民党ラーメン文化振興議員連盟のメンバーで、渋谷区千駄ヶ谷にあるラーメンの名店「玉(ぎょく・店主の玉川氏が全日本ラーメン協会長)」で総会を開いた後、国産小麦、輸入小麦、国産米粉による麺の食べ比べを致して参りました。「国産小麦や米粉で作ったにしては美味しい」ではなく「国産小麦や米粉で作った麺は美味しい」というレベルに達しており、ここまで進歩を遂げたのかと深く感銘を受けたことでした。開発に当たってこられた方々の長きにわたる並々ならぬご努力に深く敬意を表します。まだまだ価格が高いという問題はありますが、「安全・安心な国産小麦を使用」「小麦アレルギー疾患を持つ人にも安心して食べて頂けるグルテンフリーの米粉麺」を積極的にアピールすれば、相当の需要が見込めるように思います。
 物価高騰の影響で、ラーメン店の経営にも影響が出ており、お店を閉めるところも出るようになりました。ラーメンには以前から「千円の壁」があり、「ラーメンなのに千円以上もするのはけしからん」との声もあるようですが、スパゲティなどのパスタ類では千円越えが多く見られるのに、これは一種の偏見であるようにも思います。「良いものにはそれに相応しい適正な価格を」との意識が無ければ、経済は発展しません。

 

 今朝開かれた自民党整備新幹線等鉄道調査会において「幹線鉄道の在り方プロジェクトチーム」の提言案が示されたのですが、議論が多く出て提言案を再考することとなりました。今までこの会議には出席してこなかったので、発言することも憚られたのですが、人口急減と地域間格差の拡大、財政の悪化、Co2削減の緊要性の中にあって、国家としての鉄道の在り方を示すためと思い、いくつかの指摘をさせて頂きました。
 そもそも、中曽根内閣において断行された国鉄の分割民営化が、今の日本にとってどうなのか、顧みる必要があります。JR北海道、四国、九州の三島会社の厳しい経営について、東、東海、西の本州三社は一切関与しない、なぜならそれぞれが独立した民間企業だから、という姿勢が今も妥当するのか私は甚だ疑問ですし、世界の鉄道では当然とされる上下分離方式がなぜ日本では広く取り入れられないのかについても釈然としません。
 「民間企業」と言いますが、リニアに対する国の支援は無担保で30年据え置き、3兆円に上る破格の財政投融資で、ただの民間企業には到底考えられないものであり、仮にその返済が滞った場合には、それは最終的に国民の負担になるものです。都合のいいところだけ民間の論理を持ち出すな、と言われても仕方ないのではないでしょうか。
 もっと本質論でいえば、航空会社やバス事業者は空港建設や道路建設の負担を求められることはあり得ないのに、何故鉄道だけが建設負担も運行負担も共に求められた上、赤字であれば廃止せよと迫られるのか。同じ公共交通機関としてこれは著しく不公平なのではないでしょうか。今後の鉄道の在り方は、このような根本的な議論の上で示されるべきだと思ったことでした。

 

 リニア推進について少しでも疑問を呈すれば、「反日のサヨク」「中国の回し者」「不勉強」といった感情的かつ非論理的な匿名の反論がネット上に殺到しますが、この言論空間は一体何なのでしょう。保守の本質は、自分の意見と異なる意見にこそ耳を傾ける寛容性にあるところ、ただただ異論を否定する勢力が自らを「真の保守」と称することには強烈な違和感を覚えます。これは憲法第9条第2項削除論を否定し、ひたすら自衛隊明記論を賛美する議論とも通底するのではないでしょうか。もはや立ち位置すら「右」でないのに「真の保守」とは恐れ入ります。集団的自衛権の全面行使を否定し、アメリカだけを唯一の同盟国と誇るような言論に、日本国の独立や愛国心が語れるとは思えません。
 このような様子を見ていると、「国民の底意地の悪さが経済低迷の元凶」という加谷珪一氏の所論にも妥当するところがあるのではないかと思ってしまう昨今です。
 匿名の投書(ネット上の匿名投稿などなかった時代の話です)については、井上靖の小説「欅の木」(昭和50年)に面白い記述があります。新聞に随想の連載を持っていた実業家に対して、辛辣な匿名の批判の投書が数回寄せられ、立腹した実業家がその批判の主を探し出したところ、病院に入院している真面目な青年であったというお話ですが、当時に比べて批判の質も随分と落ちてしまったのかもしれません。

 

 このたび、細田博之前衆議院議長のご逝去に伴い空席となっていた「日本海沿岸地帯振興促進議員連盟」の会長に就くこととなり、昨日の総会において承認されました。昭和39年の創設以来、福田一先生、桜内義雄先生、綿貫民輔先生等、錚々たる衆議院議長経験者が務めてこられた役職であり、私には大変な重責ですが、偏に議歴の長さ故のことだと思っております。
 日本海側のことを「裏日本」という、聞き方によっては侮蔑的とも思える言い方をするようになったのは明治28年、それまで日本一であった新潟の人口を東京が抜いた時からで、同年発表された「中学日本地誌」に登場したのが始まりだそうです(それまでは日本海側を「内日本」、太平洋側を「外日本」と呼称していたとか)。私が中学生の頃まで、NHKでも「明日の裏日本の天気は…」などと言っていて、言いようのない屈辱を感じたことを覚えています。日本海側に限らず、明治維新以来の日本の経済的発展は、人為的に作られた首都一極集中政策によるところが大なのであり、首都一極集中に起因する人口急減と大災害に対する脆弱性を抱えた今、人為的に作られたものは人為的に変えていかなければなりません。

 

 国会会期末が近づき、今週は何かと慌ただしい一週間でした。
 皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

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石破茂
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