戦略爆撃報告書など

 石破 茂 です。
 台風10号の進路がとても気がかりです。被害が大きくないことを切に願います。
 これだけ災害が多発していながら、その都度都度に雑魚寝状態の避難所が開設され、復旧に常に補正予算と予備費が投入される状況は、何としても改善されなければなりません。自然災害の発生をすべて防ぐことは困難でも、発災後に起こる被害はすべて人災であるとの覚悟と決意を持って、災害関連死は限りなくゼロにすることを目標とすべきであり、皆が懸命に全力を尽くした、という美談にすり替え、我慢を強いてはならないのです。
 防衛庁長官在任中、有事法制と国民保護法制を手掛けたことで、アメリカの「戦略爆撃報告書」の存在を知りました。その中に、「日本政府には国民を守ろうという意思が全く無かった」と書かれているのを読んだ時の衝撃を今も忘れることはありません。
 昭和20年3月10日の東京大空襲(無辜の民を殺戮の対象とした無差別爆撃であり、国際法違反であったことはここでは措くとして)で一夜にして10万人もの生命が失われたことをはじめ、なぜ空襲の数がドイツよりも少なかった日本でこれほどの死者が出たのか、アメリカは戦後徹底的に調査を行い、その結果をまとめたのが「戦略爆撃報告書」でした。そしてその中で、米当局は死者数が多かった最大の要因として、空襲を受けた市民に対して逃げることを禁じ、ほぼ不可能な消火活動を強いた「防空法」の存在を挙げています。
 今回の台風でも、国民は大きな不安に駆られています。気象庁は予算も人員も権限も乏しいため、防災省への編入を見据えてリソースを強化するべきですし、国、都道府県、市町村とばらばらに分かれている河川管理の一元化は、西日本豪雨の教訓としても必要な措置です。急いでやらなくてはならないことだけでも山積しているのです。

 

 このように考えると、戦後の日本は戦前と訣別したことになってはいても、どこかで負の面の連続を抱えているように思われてなりません。
私も今まで、総裁選において防災省の設置を強く訴えてきましたが、未だに実現を見ておりません。もはや総理大臣として設置を決定する以外に、その実現の方策はないのではないか。これは、私が今回立候補するに至った大きな理由の一つです。
 そして防災に限らず、目の前の票やカネにはつながらないけれども、政治が本来果たさねばならない役割というものがあるはずですし、それらについても最大限に主張したいと思います。

 

 今回の総裁選挙では、投票権のある自民党員にとどまらず、広い国民のご支持が絶対に必要です。
 私自身は決して若くもありませんし、イケメンでも華やかでもありませんが、己の足らざる点を反省し、改善に努めて参ります。どうかよろしくお願い申し上げます。

 

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石破茂
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