(新しい)資本主義など

 石破 茂 です。
 前回、総選挙での立憲民主党の敗北は、国民に拒否感の強い共産党との選挙協力が無党派層の比較的「保守寄り」の有権者の離反を招いたことによるのではないかと書いたのですが、それでは同党が共産党と協力した小選挙区で議席を伸ばしたことの説明がつかないように思い、認識を改める必要があると考えております。
 小選挙区では必ずしも全幅の信頼を寄せているわけではない自民党候補に投票するが、比例区はバランス感覚を働かせて野党に投票する、という投票行動をとる有権者が一定数居られるのが今までのパターンだったのですが、今回は選挙区によって差はあるものの、それとは逆のことが起こっているようです。これは一体どういうことなのか、にわかには理解し難いのですが、「共産党と組むような政党は怖れるに足らず」と単純に考えてしまうことは危険なように思います。
 小選挙区制の投票では候補者個人への評価のウエイトが高く、それに共産党支持者の票が上乗せされていたプラスの面が有効に働いたのに対し、比例区では候補者個人の要素はほとんどなく、党や党首のイメージが前面に出るため、今回マイナス面が大きく出たのだとすれば、党首選で立憲民主党のイメージが一新され、共産党との協力の在り方が天皇制や安保政策など国家の基本政策を中心に、国民に理解できるように平易かつ明確にした上で選挙協力が行われた場合には、また異なる展開になるような気が致します。ゆめゆめ(努々、と書くのですね)気を抜くようなことがあってはなりません。

 新しい資本主義、とは一体何なのか、そもそも資本主義とは何であり、それを何故、どのように変えるのか、よく考えてみなければなりません。資本主義、とは本来、生産手段を所有する資本家が、それを持たない賃金労働者を雇うという、支配階級と被支配階級とに明確に分化する構造になっているもので、格差と分断は当然の帰結として生ずるものだと言われています。この格差が拡大することが経済的にマイナスの面が大きくなってきたことが資本主義の見直しの要点なのかもしれませんし、労働者のQuality of Lifeの確保という面からも相当の論点があるように思われます。経済学的な面はもとより、このような社会学的観点からの見直しもまた必要なのだと思っていますが、更に突き詰めた精緻な思考をしなくてはならないことを今更ながらに痛感しています。故・堺屋太一氏が最後の著書「三度目の日本」で指摘されていたことですが、かつての日本が目指した「強さ」や「豊かさ」に代わる「幸せ」という価値観をどのようにして実現するか、これもまた深くて難しい問題です。

 先週末も選挙区のご挨拶回りを行ったのですが、二十数年ぶりに訪れたような集落もいくつかあり、当選期数が増えるに従って選挙区がよく見えなくなってきていたことを深く反省させられました。若い頃のように、後援会活動として集落のほとんどの方々にご挨拶する、などということは難しいのかもしれませんが、あの頃の気持ちを決して忘れてはならないと改めて思います。

 コロナ禍がひとまずの落ち着きを見せているため、昨年はほとんど見られなかった年末の予算陳情風景がかなり復活し、今週は相当に慌ただしい一週間でした。
 週末、20日土曜日はスカパーYouTube緊急討論でモーリー・ロバートソン氏、プチ鹿島氏との鼎談(15時より生配信)。
 21日日曜日は地元で自民党鳥取市賀露支部の総会に出席。
 22日月曜日はプライムニュース(BSフジ・20時~)で先崎彰容・日大危機管理学部教授と対談の予定です。
 皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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石破茂
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