コロナ感染第6波により、亡くなられる方が連日過去最多を更新し続けています。この「医療緊急事態」の中、いかに命を救うかが課題です。
◆全国ワーストの奈良
特に奈良では感染者数、医療とも深刻な状況です。16日にはついに死者が11人を数え、その前1週間と合わせても、対人口比率で死者が全国ワーストとなってしまいました。奈良の人口が全国の約1%であることを考えると、1日11人の死者は全国に直すと1000人にも匹敵する深刻な状況です。また、16日時点の病床占有率は重症対応病床が62%、入院病床が73%とひっ迫しており、1日1000人以上の新規感染者高止まりが続く中、限界が近づいています。今、奈良の地域医療は危機に瀕していると言えます。まん延防止等重点措置の適用には賛否両論ありましたが、奈良の感染者数と死者、医療ひっ迫を見るに、結果として県の第6波対応は失敗に終わっていると言わざるを得ません。
◆自治体任せでは限界
今までも感染の波が生じるたびに、医療ひっ迫が問題となり、早急な制度改革が求められてきましたが、今回、改善がなされないまま同じ事態が繰り返されることになってしまいました。それは、自治体のみならず国の怠慢が大きく影響しています。大規模な感染症流行の中で医療の確保を県や市町村に任せておくことには情報や財政の点で限界があり、国が前面に立って都道府県との医療提供のための連携や医療機関への財政支援を進めなくてはなりません。岸田総理も昨秋の所信表明演説で医療資源確保のための法改正を明言していたのですが、結局法改正は見送られたままです。抜本的な改善策に取り組まず、飲食店への時短営業を中心とした今まで通りの漫然とした対応に終始していることが、今の医療ひっ迫を招いています。
◆オミクロン対策支援法案を提案
われわれは一貫して医療ひっ迫の抜本的改善による流行の波への備えを主張してきました。そして、このオミクロン大流行に対する緊急対応として、7日に「オミクロン・感染症対策支援法案」を国会提出しました。内容は、医療確保のため、急増する自宅療養者に対する健康観察等を行った医療機関に協力金を支給することや、都道府県等が医療機関と協定を締結し、協定を締結した医療機関に協力金を前払いで支給すること、知事が医療機関に設備・人員の配置変更等を要請・指示でき、要請・指示に従った医療機関に協力金を支給すること等を可能とし、これらに国が財政上の措置で支援することとしています。
また、単に自治体任せではなく、国が司令塔としての機能を発揮するため、政府対策本部長(総理大臣)が知事に、必要な情報の提供を求めることができることや、総理が、医療提供体制がひっ迫している知事からの要請により、他の都道府県と医療提供体制を調整することができること等を盛り込んでいます。
このように医療提供のシステム自体を変えることが、オミクロンのみならず、今後想定される更なる再流行への備えになります。事態は一刻の猶予もありません。我々の提案する法案の一部でも政府与党が取り入れるならば、協力し速やかな立法に臨む立場で対応して参ります。
スタッフ日記 「生活を守るために」
新型コロナ感染者が連日過去最多を更新する中で、奈良県内においても多くの方から様々な声をいただきます。2月に入ってからは、身近に感染された方や濃厚接触者になったとの話を聞くようになり、日常生活圏においても拡大していることを実感しています。しかしながら、奈良県においてはまん延防止等重点措置などが出されていない中で、どこまで気を付けて生活しなければいけないのか、個人での注意喚起に留まっていることも不安を高める要因の一つだと感じています。特に、地元商店街の方から話に挙がるのは、県内の飲食店が相当に深刻なダメージを受けている、という話です。実際に、奈良市内で何軒か飲食店を経営している方からは、事業を縮小して4月からは1店舗閉めようかという話や、去年よりもしんどい状況だ、といった声は少なくありません。
最近は、夜の外出は避けようという雰囲気が拡まりつつあり、飲食店だけ限って言えば、時短要請がなくとも、自主的に時短営業せざるを得ないお店も多く、また、オミクロン株は若年層でも感染が拡大していることから、アルバイトなどの人員確保が難しく、事実上、お店を開けられない店舗も見受けられます。まん防止等重点措置がなくても、いち早く協力金のような形で救済してほしいと求める声は、一貫して増えつつあります。
県内における感染者の自宅療養ケアは、再来週から新たに民間業者に委託して、各市町村との連携が図られます。命を守る政策と同時に、日々の生活支援につなげる体制づくりに、もう一歩踏み込んだステージにしていかなければと強く感じています。(特命係長)
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