今国会の最重要法案の一つである統一教会被害者救済法案をめぐって与野党の協議が続いていますが、先日政府から提示された案は、何に配慮したのか、われわれ野党が求めてきた被害者救済には程遠い「骨抜き」そのものでした。
◆あれもこれもナシ
多額の寄附により身ぐるみを剥がされた、家族が離散したなど、多発した悲惨な被害を2度と出さないことが対策案の目的です。そのためにはカルト教団の手口をしっかり防ぐ方策が必要です。例えばマインドコントロールです。カルト教団の洗脳によってマインドコントロールを受けた被害者は、正常な判断能力を失って、その後自ら進んで多額の寄附を行ってしまうことが多く、これを防止しないと実効性がありません。しかし、対策案にはマインドコントロールの定義さえありません。
また、寄附の規制対象は「法人」になっていますが、これでは個人である教団幹部などへの寄附が規制範囲外になり、規制が「ザル」になってしまします。
さらに、寄附に関し対策案には、「個人等が居住する建物等の処分により寄附資金の調達を要求してはならない」とありますが、居住地以外の土地などの資産を処分する場合は対象外となるならば、事実上、上限規制は無いに等しくなります。
総じて、カルト教団の手口を防ぐには極めてあいまいでぼやけた対策案で、「骨抜き・ザル」そのものと言えます。被害救済に取り組んできた弁護士達からも、これでは全く役に立たないという声が上がっています。これでは、カルト教団の寄附強要に道を残してしまいます。立憲民主党も対案を先駆けて出していますが、政府案のようなザル対策にそのまま同調することは出来ません。
◆岸田内閣の辞任ドミノ
一方、国会に目を移せば、政治資金疑惑が疑われた寺田稔総務大臣が辞任しました。辞任が相次ぎ1年の短命に終わった第1次安倍政権でさえ2か月に3人という辞任ペースだったのが、岸田政権ではすでにこの1か月で3人の辞任と異例のスピードなのに加え、松本剛明新総務大臣には就任翌日から政治資金パーティーをめぐる疑惑が噴出する始末です。岸田内閣としては、次から次へと押し寄せる不祥事への言い訳と辞任ドミノへの対応に追われ、もはやまともな政策立案能力を失ってしまっていると言えます。その結果が骨抜き統一教会救済策であり、財務省の思惑通りの種々の増税案なのでしょう。
この混乱を受けて、永田町では不人気内閣恒例の、退陣か?それとも解散総選挙か?との噂が流れ出しています。12月退陣or解散説、5月の広島サミット後の解散説など様々で、どれも憶測に過ぎませんが、ドタバタを受けて大義名分も無いまま解散という流れには、国民もウンザリしているのではないでしょうか。
私の見るところ、岸田総理に解散総選挙に打って出る気概も力も無く、かといって統一教会問題で脛に傷を持つ議員だらけの自民党に新たな総裁を選び出すエネルギーも無く、岸田政権がダラダラと低空飛行を続けていくのではないかと考えています。その間、国会も不祥事追及と骨抜き政策審議が中心になってしまうでしょう。
しかし、そんなことになっては国民にとって不幸そのものです。国民の暮らしに何が必要かや、国のあり方をどうすべきかを各党が提示し、議論する正常な国会運営が一日も早く行われるように力を尽くさなければと思います。
スタッフ日記「森保ジャパン、勝った!」
サッカーのワールドカップが開幕しました!先日23日、日本は優勝候補ドイツとの試合で、2-1で逆転勝利を収めました!この奇跡的な勝利を「ドーハの歓喜」と呼ぶそうです。試合前は誰もがドイツの勝利を疑わず、前半1点を先制された試合内容を見ても、点数以上の差を感じる内容でした。森保監督は、後半からシステムを変更して、あえてリスクが大きい「攻め」の戦術をとって勝利をもぎとり、日本のサッカー界に新たな歴史を刻みました。
「ドーハの歓喜」には伏線があります。94年、同じドーハで行われたアメリカW杯への初出場をかけたアジア最終予選、日本の初出場が決まった、と思われた試合終了間際のロスタイム、イラク選手のヘディングシュートが、日本のゴールに吸い込まれていったのです。
W杯出場をほんの目前で逃したこの出来事は「ドーハの悲劇」と呼ばれています。イラクのゴールと同時に、日本の選手が泣き崩れるシーンは今も忘れられません。
ドイツ戦の解説を務めた当時の日本代表・中山雅史氏はツイッターで「あの場所で、俺たちの日本代表がやってくれた!」と喜びを語りました。「悲劇」が「歓喜」に変わった瞬間です。
悔しい過去を乗り越えてチーム一丸で掴んだ勝利、体格では不利な日本人も世界の強豪と戦えるんだ、そんな熱い気持ちにさせてくれた試合でした。これから決勝トーナメントに勝ち進み、ベスト16の壁を超えることが出来るのか。寝不足の日々が続きますが、今からワクワクです!(新人スタッフN、改め「ペーター」)
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