奈良ではコロナ感染者数が連日100人に迫り、感染者比率では全国トップクラスが続いています。苦境に立つ飲食店からは、自治体に対し強い感染対応を求める声が高まっています。変異ウイルスが強力な感染力を持つ以上、大阪や京都が対応を強化したとしても、県境をすり抜けるように感染は拡大します。西村大臣も、まん延防止等重点措置の奈良への適用に言及しています。知事は、躊躇せずに適用を要請し、飲食店等への支援に舵を切るべきだと考えます。
◆心がけた質疑の充実
そのような中、12日、決算行政監視委員長として、初めて質疑を差配する委員会を開催し、コロナ対応等が議論されました。委員長として、まず心がけたことは委員会の本旨たる「質疑の充実」です。予算委員会の中継をご覧になって、大臣がダラダラと無関係な答弁を続け、論点をすり替えるなどで、質疑時間を浪費させる場面が幾度となく繰り返されているのを皆さんもご承知のことかと思います。ただひたすら、野党の追及を逃れるための答弁は、本来の国会、委員会の趣旨から大きく逸脱しています。委員長とは議場の整理権を持つ唯一の存在ですから、総理へ対する質問に、政府参考人や他の大臣に答えさせることは、国民の代表者たる委員の質問権を毀損することになりかねません。委員長は、国民の権利としての委員の質問権を守り、政府に対して説明責任を果たさせる重要な役割を担っています。
従って、質疑の充実のために、総理への質問に対しての他の大臣の答弁を徹底して押さえました。議事進行上、最低限必要と認められる、所管大臣の答弁以外は、質疑者の要求を最大限受け入れて答弁者を指名することに努めました。
一方で、要点を得ない質問や批判を繰り返す委員がいることも事実で、委員長としての公平な立場から、質疑の遅延や混乱が発生しないよう努めました。
◆リズミカルな質疑
質疑のわかりやすさも重要です。特に、テレビ中継された今回は、国民にとってわかりやすい質疑となるように、総理答弁と質疑者の質問が、一問一答形式でサクサクと繰り返されることで、見ている方が質疑に入り込めるように差配しました。これは、特に重要なところで、質疑はある一定のリズムによって構成されることにより、論点が明確になっていきます。果たして政府としてYESなのかNOなのか、事実なのかそうではないのか、そのようなファクトに基づく質疑こそ、国民から見てわかりやすい質疑に繋がります。
◆新たな視点を生かす
このような委員会運営に心がけ、野党の的確な質問に頷く場面も多くありました。一方で、隣に座る菅総理が、答弁書に書かれていないことを答えられずに秘書官から再三耳打ちをされ、時には答弁書に載ってないとして秘書官に声を荒げる姿を目の当たりにして、「この国の舵取りはこの人で本当に大丈夫か?」と暗鬱たる気持ちにもなりました。6期もの間、予算委員会の先頭に立ってきた者として、安倍政権下で虚偽答弁がまかり通ってきた国会を変えるためには、質疑の充実こそが必要と思っています。客観的な視点で差配を続けるとともに、質疑の息づかいを目の前で感じる経験を、自らの質疑にもフィードバックしていきたいと考えています。
スタッフ日記 「新しい時代を刻む」
伝統的な町並みをいまに伝える、ならまち。
観光地として多くの宿泊施設や飲食店が立ち並ぶ場所ですが、新型コロナによる観光客数の減少によって大きな打撃を受けて、廃業や休業に追い込まれるケースもあります。
しかし、この苦境に負けず、興福寺を目の前に猿沢池のすぐ西に、今までにない視点から歴史と文化の継承を伝える、そんな新たな観光スポットに注目が集まっています。
1716年に、麻織物である「奈良晒(ならさらし)」の問屋業からスタートした中川政七商店は、創業の地に複合商業施設「鹿猿狐(しかさるきつね)ビルヂング」をオープンさせました。観光客だけではなく、地元の方にも利用できる場を目指した施設には、築100年以上の蔵の展示資料や麻のワークショップ体験、こだわりの飲食店など、様々な分野を一つの場所に融合させ、工芸を通じた新たな産業観光・奈良の発信を目指しています。
また、猿沢池をすぐ目の前に多くの修学旅行生を迎えてきた老舗旅館の天平ホテルは、「天平ホテルならまち」として全面リニューアルしました。奈良に縁のある僧侶や書家が綴った作品が客室の壁に大きく書かれており、奈良墨や奈良筆で受け継がれる奈良の「書」を感じられる、大胆でありかつお洒落な内装は今までにないホテルの形態だと言えます。
時代を超え、この厳しい状況の中での新しいならまちの1ページには、奈良に住む地域の皆さんの力で発展して行くことが重要だと感じています。コロナ対策を万全に、皆さんも奈良の歴史を感じに出かけてみてはいかがでしょうか。(特命係長)
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