自民党総裁選がメディアを賑わせていますが、その間にも政治空白が続いています。結局、野党が要求し続けたコロナ対応のための臨時国会は開会されず、菅総理は退陣されることとなりました。
◆危機感無きアピール合戦
あまりにも悠長なのは政府のみならず自民党も同じです。総裁選における各候補者の議論を聞いても、政府与党は何を間違ったのかという総括なしに、ワクチン接種の推進や検査の拡大、医療確保のための法整備など、一般的な主張ばかりが並び、危機感と緊急性が感じ取れません。
病床を十分に確保できずに自宅療養中に亡くなる方が相次ぐ危機的状況で、例えば公の病院の病床開放など、今日、明日のレベルで国が緊急的に出来ることは何なのかを突き詰めた議論が行われていないのは残念です。
◆河野太郎氏の消費税増税案
総裁選候補者4者の主張は一見多様に見えますが、重要な争点である税の体系について根底に流れる思想は同じと見ています。それは、消費税を税の中心と位置付けた長期的な増税方針です。
河野太郎候補の主張は、消費税増税による最低保障年金の確保です。現在、基礎年金の財源は皆さんが支払う保険料が半分、国庫負担つまり税金が半分を占めていますが、河野候補はこれを、全額消費税を財源として賄おうとする案を示しています。
しかし、その実現のためには仮に今の満額月6.5万円程度の基礎年金の水準でも、13兆円程度の追加消費税収が必要になり、16%程度の消費税率が必要になります。最低保障としての基礎年金を増額するならば、あっという間に20%程度が必要になるでしょう。
消費税には、税率を上げれば上げるほど、ギリギリの生活を強いられている余裕のない層に負担が重くのしかかる性質があります。
例えば、収入20万円で生活に全額支出する世帯の消費税負担は、税率が20%になると一気に4万円となり、収入に対して非常に厳しい負担率になります。河野案では逆に生活に困窮する国民を増やしてしまいかねません。
最低保障年金、または国民全員が最低限暮らしていけるだけの給付金を支給し続ける、いわゆる「ベーシックインカム」の議論は検討の余地があると考えますが、消費税増税分を財源とするのはさらなる経済縮小を招く悪手です。
年金など社会保障関係費の支出は、最大の人口ボリュームを持つ団塊周辺世代が後期高齢者を迎えつつある今から10~20年程度が最も厳しい状況であることを踏まえ、短期的な財政規律にこだわらずに積極財政によって経済成長との両立を図るべきと考えます。◆対立軸は消費税減税
その他、岸田文雄候補は、消費税を10年程度は上げることは考えないと述べていますが、これは明らかに将来的な消費税増税に含みをもたせるもので、路線は安倍・菅政権の継承と言えます。
また、高市早苗候補も大規模な財政支出を説きながら消費税減税は否定しており、言及の無い野田聖子候補も含め、消費税減税は自民党の公約とは成り得ないことを示しています。
一方、主要野党は消費税減税を明確に打ち出しています。コロナ対策の実行力はもちろん、経済政策と社会保障政策が問われる中、総選挙での大きな対立軸は消費税減税の是非にあることがはっきりしてきたと考えています。
スタッフ日記「『大きな岩』の話」
私の母校では、毎週生徒指導の先生より話がありました。その話がとても興味深く、毎週楽しみにしていたのを覚えています。その話の一つで、中学2年生の時に聞いた話に「大きな岩」の話があります。
「大きな岩」の話は、ある大学の講義で行われた話です。教授は教壇に立ち、生徒の前で壺の中を岩でいっぱいにしました。その後、岩と岩の隙間を砂利で埋め、砂利と岩の隙間を砂でいっぱいにしました。最後に、水を壺の縁まで入れ、いっぱいにしました。そして、教授は生徒に話し始めました。
「大きな岩を入れてから砂利や砂、水を入れることはできますが、水を先に入れて壺をいっぱいにすると、岩や砂利、砂を入れることはできません。ここでいう大きな岩とは、仕事や志、家庭などの自分たちにとって一番大切なものを指します。水や砂、砂利などの自分に取って重要性の低いものから、自分の壺を埋めてしまうと、自分たちの人生は重要ではないもので埋められた人生になってしまいます。そして、大きな岩、つまり自分たちにとって一番大切なものに割く時間を失い、その結果、それ自体を失います。」
この「大きな岩」の話は、当たり前の様に感じられるかも知れません。しかし、周りで多くのことが起こることにより、忘れてしまいがちになります。今、コロナに対する不安で押しつぶされそうな日々を送っています。しかし、こんな時だからこそ、自分にとって一番大切なものに時間を割くことができているのかを振り返り、自分にとって大切なものを見失わない様にしていきたいと思います。 (枝豆ちゃん)The post 第1001号 総裁選と消費税 first appeared on 馬淵澄夫(まぶちすみお)奈良県第1区選出 衆議院議員.