ここから見える世界は――国家間の軍事的対立を乗り越えていく社会観のために

 人工衛星から地表を俯瞰すると、それはおおむね海の藍色と雪や氷の白、樹々の緑と砂漠の薄い橙色に見える。しかしさらに観察するとほのかに紫がかった灰色が神経細胞のように局所局所を覆っている。それは都市の色だ。地球上において都市は一つの地層をなす。だから人間は、地球の歴史で最も新しい時代に出現した、地層を作る習性を持った生き物と言えなくない。

 習性。そう言うと、違う、都市は人の意志によって作りあげられたのだという反論があるだろうか。けれどそれなら誰が望んで都市を今日のありかたにしたのだろう。 誰が望んで都市の存亡を核軍事力に委ね続けているのだろう。やはりそれはどこまでいっても「人の意志によって」と言い切ることはできないのだ。


続きをみる