代表質問③≪スマート県庁への提案≫職員提案制度の創設とDX化前進

代表質問3回目は、今回、力を入れましたスマート県庁の転換や職員提案制度、そしてDX化についてです。

 

質問の内容に入る前に、ソニーの社長や会長を10年にわたって務め、IT時代を先取りされた経営者の出井伸之さんのご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。

 

ジョン・キム先生出版記念パーティ

 

退任後は人材育成に力を入れられ、市議会時代から温かいご支援をいただいておりました。

まさにデジタル社会の最先端のトップでしたので、今日の代表質問の内容はDX化についてお伝えしていきます。

 

まず、職員提案制度については、昨年6月定例会の代表質問にて若手職員の活躍という視点でも要望していた内容でして、新しい制度創設に至りました!

 

長引くコロナ禍でピンチをチャンスに変えるために民間では様々な取り組みや新たな価値が創造され、行政においてもこれまで以上にスピード感のある施策の推進や行政運営の効率化等が求められていることは言うまでもありません。

 

しかし、千葉県の職員提案制度は残念ながら業務改善がメインで新しい提案をする制度はなく、これまでもゼロ!

 

県民サービスの充実を図るために、日々、行政運営に携わる職員にしか思いつかないアイディアや発想が必ずあるはずで、どんどん新しいことにチャレンジする制度設計にしていくことが重要です。

 

【水野質問】

職員が提案しやすくなるように現行制度を改善していくことが必要。職員提案制度について、どのような目的で実施し、どのような効果を期待しているのか。

 

 

【熊谷知事答弁】

●県では新たな職員提案制度を創設し、運用を開始。 

●新制度は人材の育成を図るために職員からの提案を奨励し、政策の検討の場に参画することで、職員が個々の能力や意欲を最大限に発揮し、活躍できる仕組みとして整備。

●今後、新制度の運用により、職員の能力や意欲の向上はもとより、提案された新しい視点から関係課が主体的に取り組むことや、新しい施策による県民サービスの向上といった効果を期待しており、更には組織の活性化にもつなげたい。

 

【水野要望】

●上司の支援体制や理解促進など、提案しやすい職場環境づくりに取り組んでいただくよう要望する。 

●優れた提案等に対して 知事が表彰するなどの取組も。

 

 

次にデジタル化についてです。

デジタル化は、特に熊谷知事も得意とする分野であると認識しております。

ちょうど1年前の熊谷知事の知事就任初めての定例会における私の代表質問に対し、知事が感じた県庁の課題として『デジタル化の遅れ』を挙げられ、知事就任以降、業務プロセスのデジタル化を図っていただいているところです。

 

※昨年の6月定例会における代表質問

 

県ではデジタル関連施策を一体的かつ効率的に進めるとともに、業務改革をより一層推進するため、総務部に「デジタル改革推進局」を新設し、局には、「デジタル戦略課」と「デジタル推進課」を新設、「情報システム課」と併せて3課体制を整備しました。

 

一方で、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界デジタル競争力ランキング2021」で、日本の総合順位は64カ国・地域中28位と過去最低となりました。

今後、一層人口減少・高齢化が進展する中で経済成長を実現するには、生産性向上のためにDXは不可欠であり、特にコロナ禍を契機に、変革が必要なことは明らかです。

デジタル社会において、日本が致命的な遅れを生み出した背景として、グローバルの潮流変化に対する日本の感度の低さや実権を持つ方々がデジタル技術を敬遠してきた傾向が指摘をされています。

DX化を促進していくためには、県民、行政、事業者が一丸となってDXに取り組まなくてはならない意義を把握することが大事です。

幅広い理解を得るには、「行政のデジタル化」がどのような目的で行われ、実現するとどのようなメリットをもたらすのかなどについて明確に、そして丁寧に県民や事業者に示す必要があります。

【水野質問】

デジタル・トランスフォーメンションの推進にあたっては、あらゆる手段を用いて、知事や行政が県民や事業者の理解促進に向け取組むべきだと思うがどうか。

 

【熊谷知事答弁】

●DXを県民や事業者と共に推進していく上では、暮らし、仕事、産業などがどのように変わり、便利で豊かになるのか 理解をしていただき、DXの必要性を認識し ていただくことが何より重要。 

●現在、県では、県がめざすDXの方向性を示すため、DX推進に関する戦略の 策定を進めているが、この中で、推進により目指す姿の具体像やDXで得られるメリットを分かりやすく説明することとしている。 

●私自身もDXの必要性について、様々な機会を捉えて発信することで県民や事業者の理解を得られるよう努める。

 

複雑・多様化する社会経済情勢の変化に伴い、千葉県としても千葉県行財政改革計画を策定し、目指す県庁の姿として「スマートで機能的な県庁」を明記しています。県庁内の業務効率化を推し進めていくことと同時に、県民がデジタルの活用によって一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができるデジタル社会の構築を目指し、また誰一人取り残されない県政運営をしていくことが重要です。

県民の多種多様な環境やニーズ等を踏まえてユーザー目線できめ細かく対応していくことによって、誰もが、いつでも、どこでも、デジタル化の恩恵を享受できるように取り組んでいく必要があります。

【水野質問】

今後、県民がデジタル化の恩恵を受けられるようにするために、県として具体的に行政手続きのデジタル化にどのように取組んでいくのか。

  

【熊谷知事答弁】

●県では、県民や事業者の利便性や生産性の 向上を図るため、行政手続のデジタル化を 推進することとしている。

●具体的には、今年度から申請件数が多い約 600の行政手続について、オンライン申請 様式の作成や業務フローの見直しを集中的に実施し、今後3年間でオンライン化を図る。 

●デジタル技術の活用や業務プロセスの改善を通じて、県民がデジタル化 の恩恵を実感できるよう取り組む。

 

 

マイナンバーカードについてです。

千葉県のマイナンバーカードの交付率は令和3年11月時点で約4割にとどまっており、国では、令和4年度末にほぼ全国民、県では令和6年度に、ほぼすべての県民への普及としていますが、目標には程遠い状況です。

マイナンバーカードについては、国では健康保険証を将来的に原則廃止し、マイナンバーカードに一本化する方向で政府が検討に入り、ポイント還元等のキャンペーンを行うなど、あらゆる取り組みを行っているところです。

 

また、運転免許証との一体化も令和6年度に開始するなど、今後、利用範囲が拡大していくことが見込まれております。一方で、マイナンバーカードのセキュリティ対策及び個人情報流用のリスクを危惧する声も多く、マイナンバー制度のメリットと同時にセキュリティ対策等についても丁寧に県民に説明していくことはデジタル社会の実現には欠かせません。

 

【水野質問】

マイナンバーカードの普及の現状と課題はどうか。また、今後どのようにして普及させようと考えているのか。

 

【穴澤副知事答弁】

●本県における交付率は令和4年5月1日 現在で44.9%であり、取得を促進するためには、カードの利便性などについて更なる周知が必要。

●国では、カードの普及促進に向け用途拡大による利便性の向上のほか、カードの取得等に対してポイントを付与する事業などを実施している。

●県としては、こうした国の取組も踏まえ、市町村とも連携を図りながら、カードを持つ ことのメリットなどを分かりやすく広報するとともに、取得の際の利便性向上にかかる取組を支援するなど、取得促進に取り組む。

 

スマート県庁への転換に向けた課題の一つとしてデジタル人材の育成について。

行政のデジタル化を推進していくためには職員の意識改革はもとより、最新のデジタル技術やIT知識に精通した人材を積極的に確保し、育成することは必要不可欠です。

また、単なる業務効率化のためのデジタル化ではなく、仕組みや既存の業務の変革に取り組むDX人材を育成していかなくては、DX化がゴールとなってしまい、目的が不明瞭となってしまいます。

県庁全体で「なぜDXを行うのか」その目的を共有し、職員一人一人がデジタル化に前向きに取り組む環境を整備していくこともスマート県庁に向け、大切な要素となると思います。

 

【水野質問】

デジタル化に対応できる職員の人材育成・スキル向上にどのように取り組んでいくのか。

 

【熊谷知事答弁】

●県ではこれまで、全ての職員を対象にDXの基礎的な知識を習得するための研修や管理職向けに意識改革を促す研修などを実施してきたが、スマート県庁への転換を進めるためには、研修の一層の充実を図る必要がある。

●これまでの取組に加えて、今年度は、より専門的な知識を習得するための研修により、県庁のDXを支える人材を育成するとともに、行政手続きのオンライン化に向けた研修など職員のスキル向上を図っていく。

 

 

【水野要望】

●DX化による働き方改革の推進。一方で、コロナ禍で定着したテレワークだが、仕事と私生活の境界があいまいになり、就業時間外でも仕事ができてしまう環境が整ってしまった。本来はデジタル化を契機として、業務のあり方を変革することも大きな目的なひとつであったにも関わらず、日本では逆効果となっているという指摘もある。

海外ではデジタル機器の適切な利用を通じて心身の健康を確保するデジタルウェルビーイングが重視されている。就業時間外の業務連絡を拒む「つながらない権利」をフランスが労働法に規定し、導入が広がっている。デジタル化の推進とともに、副作用として生じてくる課題についても逆効果とならないように適切な対応を要望する。

●デジタル化に関してはすべての県民が同じスピードで進んでいるわけではない。どれだけ便利になろうとアナログを好む県民もいる。だからこそ、なぜDX化を進めなくてはならないのか、丁寧に県民への説明を心掛けていただきたい。