アルミ缶の抜き取りは年間1億2,000万円…?

「名古屋市の回収車が来る前に、資源ステーションからアルミ缶を持ち去る人がいて迷惑している。市が適切に対応していない。」こんな苦情をたびたびいただく。

市民の皆様が迷惑と感じている理由をうかがうと...

■ 持ち去りを迷惑と感じる理由
・夜中にアルミ缶をつぶす音がうるさい。
・抜き取った後、スチール缶が散乱している。
・缶の中を洗うなどきちんと分別しているのに、抜き取られ心外。
・自分が捨てた空き缶を不審な人が触るのが気味が悪い。
・集まったアルミ缶は売却され市の収入になるべきなのに、抜き取った人の収入になってしまう。納得がいかない。

アルミ缶の持ち去りで名古屋市は1億2,000万円の損害
資源ステーションで回収されたアルミ缶やスチール缶は売却され、名古屋市の一般会計収入となり、福祉の増進等に活用されている。
〇 資源ステーションで集められたスチール缶やアルミ缶の売却費(名古屋市/令和3年度)
アルミ缶/118トン/2021万円
スチール缶/1,816トン/6,908万円
アルミ・スチール混合/936トン/3,384万円
合計 2,870トン/1億2,313万円

一方、名古屋市内で抜き取られたと考えられるアルミ缶の量は500トンから700トンと推測されている。仮に700トンとした場合、「盗まれた」空き缶の金額は...
171円/kg(令和3年度/アルミ缶の単価)×700トン=1億1,970万円
本来なら名古屋市に歳入されるべき1億2,000万円が何者かによって奪われてしまっている。

■ 空き缶の持ち去りに関する名古屋市の公式見解は
不要となった物をごみとして市民の皆様が排出した場合、法律上は無主物(むしゅぶつ)と見なされ、廃棄された段階で誰の物でもないとされます。つまり資源ステーションのかごの中に捨てられた空き缶は「ごみ」扱いとなるため、持ち去り行為は窃盗罪には当てはまらず、名古屋市として取り締まることは困難です。
 
現在の名古屋市のアルミ缶の持ち去り対策
① 収集用のかごに持ち去り防止の啓発文を記載し、持ち去り車へ注意喚起する。
② 収集日当日の朝に資源を出していただくよう市民に要請したり、地域の集団資源回収に出すことをお願いする。
 
他の政令市の状況は…
20政令市のうち14市が空き缶の持ち去りを禁止する条例を制定している。中でも20万円以下の罰金や氏名の公表など罰則付きのところが多いようだ。
 
〇 アルミ缶の抜き取り行為を禁止している政令指定都市
横浜市(H16.4) 罰金20万円以下
さいたま市(H16.12) 窃盗罪
岡山市(H17.7) 過料5万円以下
熊本市(H19.10) 罰金20万円以下、氏名の公表
札幌市(H21.4) 罰金20万円以下
相模原市(H22.4) 罰金20万円以下
千葉市(H22.9) 罰金20万円以下、氏名の公表
京都市(H23.4) 禁止命令
新潟市(H23.6) 罰金20万円以下
浜松市(H26.1) 罰金20万円以下、氏名の公表
福岡市(H26.4) 過料5万円以下
神戸市(H26.10) 罰金20万円以下
広島市(R3.10) 罰金20万円以下
川崎市(R4.4) 罰金20万円以下
 
■ 名古屋市がアルミ缶の抜き取り行為を禁止する条例の制定に躊躇(ちゅうちょ)する理由
「名古屋市では地域の子ども会や老人クラブ等が資源ステーションからアルミ缶を抜き取り、団体の活動資金としている実態があり、地域の活動に支障が出るようなアルミ缶の持ち去り禁止条例の制定は困難だと考えています。名古屋市としてはどうしても慎重に対応せざるを得ません。」とのこと。

アルミ缶の抜き取り行為に対する今後の名古屋市の対応
まずは、資源ステーションに「名古屋市」などと明記し、出されたアルミ缶の所有権が名古屋市にあることを明らかにすべきだろう。
かつて地域の子ども会、町内会などが実施している新聞、雑誌、段ボールなどの古紙の集団資源回収において、古紙を持ち去る迷惑行為が後を絶たなかったが、名古屋市が条例制定に躊躇していたことから、議員提案条例で「名古屋市集団回収における古紙の持去り防止に関する条例」を提案・制定した経緯もある。議員提案条例を含めた検討を進める必要もありそうだ。
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横井利明
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