区政協力委員制度の存続が厳しい地域も

名古屋市は地域と市区行政のパイプ役として、主に町内会長や自治会長を区政協力委員として委嘱し、広報広聴活動、災害対策、市民運動の推進等に協力いただいている。

区政協力委員の身分は非常勤特別職の地方公務員。任期は2年(2年ごとに一斉改選実施・再任可)であり、町内会等住民自治組織が設置されている区域ごとに1人選出される。なお、委嘱時において80歳未満であることが要件となっている。

■ 区政協力委員の主な職務
〇 広報広聴活動への協力
チラシ類の配付等行政情報の伝達、住民意見の収集及び区役所への伝達、広聴会等での地域要望集約

〇 災害対策への協力
「災害対策委員」を兼務しており、災害危険個所の把握や地域への避難要領の周知徹底など、災害対策への協力

〇 社会教育活動及び市民運動の推進
地域における文化・教養・スポーツ事業等の振興、町を美しくする運動・交通安全市民運動・青少年保護育成運動など市民運動の推進

しかし、近年、区政協力委員の担い手が見つからず、一度区政協力委員に就任するとなかなかやめさせてもらえないといった実態がある。そのため、年々区政協力委員の平均年齢は上昇。全市平均で65.3歳となっている。

■ 区政協力委員区別平均年齢(令和4年4月1日現在)
1. 熱田区 68.8歳
2. 中村区 68.6歳
3. 中区 68.3歳
4. 瑞穂区 66.8歳
5. 東区 66.1歳
5. 港区 66.1歳
5. 南区 66.1歳
8. 北区 65.9歳
9. 中川区 65.7歳
10. 昭和区 65.2歳
10. 西区 65.2歳
12. 千種区 65.1歳
13. 天白区 63.2歳
14. 緑区 62.7歳
15. 守山区 62.6歳
16. 名東区 62.4歳

■ 区政協力委員年齢構成(令和4年4月1日現在)
20代 0.2%
30代 2.5%
40代 7.5%
50代 13.5%
60代 32.6%
70代 43.7%

今後さらに一層、少子高齢化が進むと予想されることから、担い手不足が深刻化することが懸念されている。令和4年4月1日現在、区政協力委員の欠員は市内で75人にのぼり、住民自治の基盤となっている町内会制度にも少なからず影響が出始めている。

この解決法のひとつとして、従来、町内会や自治会に頼ってきた地域の運営を、団体やNPO、企業などの外部人材が参画する新たなまちづくり団体なども視野に入れ、地域課題の解決を進めていくことも今後検討する必要があるだろう。
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横井利明
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