「引きこもりがちの長男から暴力を受けていた元次官が、長男を刺殺した事件はすごく理解できる。私も長男が交通事故にでもあって死んでほしいといつも思っている。」こんな悲痛な相談を80代の女性からいただいた。女性の長男は離婚後、実家に戻ってからずっと家に引きこもりがちだという。
「50代の息子は、気に入らないことがあると突然暴れだし、毎日のように私に暴力をふるう。もう耐えられない。自宅を出る決意をした。自宅は息子の名義にかえる。公営住宅に入ることはできないか。」
家庭内暴力の相談は今から30年ほど前は、中学生・高校生によるものを多くいただいていたが、暴力の主体の年齢が年々あがり、40~50代の息子による事案が増えていると感じている。その多くが引きこもり傾向にあることは否めない。
現在、全国に100万人以上いると推測されるひきこもり。そして、親への不満や自身への不満も噴き出して自分の中で処理しきれていないようにも見える。「普通に生活してくれれば。」という親の願いと、「自分をわかってくれていない」と追い込まれる息子。
80代の女性には、直ちに入居できる公営住宅の紹介はさせていただいたが、親戚、友人、そして名古屋市ひきこもり地域支援センターと相談をして決めてほしいと伝えるのが精いっぱいだった。
■ 名古屋市ひきこもり地域支援センター(名古屋市精神保健福祉センター内)
名古屋市内在住のひきこもりのご本人やご家族等を対象とした相談を行う機関として名古屋市ひきこもり地域支援センターが開設されている。
住所 名古屋市中村区名楽町四丁目7番地の18
電話 052-483-2077