「東京や大阪、福岡に比べて名古屋のまちは歩いても魅力ないんだよね」といったご意見をうかがうことがしばしばある。名古屋で生まれ育った私から見ると、魅力的な空間はたくさんある。「名古屋は名古屋めしだけ」「ナガシマスパーランドも、なばなの里も、名古屋ではなく三重県」と自虐的に語られがちだが、伝統工芸「有松絞」で栄えた「有松」の町並みをはじめ、「白壁・主税・橦木」、「四間道」、「中小田井」など、とても個性豊かでポテンシャルを秘めた名古屋の見どころや穴場の名所がたくさん存在している。
一方、世界中の都市では、古い町並みを生かした道路空間の魅力づくりに様々な知恵を絞っている。わが国においても、国土交通省都市局が中心となり、「居心地が良く歩きたくなる」まちなか創出に向けた関係省庁支援チームを立ち上げ、街路、公園、水辺空 間、民間空地等の公共空間利活用等に向けた対応方策等を検討し、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりについて4つの共通する特徴を示している。
■ 「居心地が良く歩きたくなる」まちなかとは
〇 Walkable(ウォーカブル)
歩きたくなる
居心地が良い人中心の空間を創ると、まちに出かけたくなる、歩きたく なる。
〇 Eye level(アイレベル)
まちに開かれた1階
歩行者目線の1階部分等に店舗やラボがあり、ガラス張りで中が見えると、人は歩いて楽しくなる。
〇 Diversity(ダイバーシティ)
多様な人の多様な用途、使い方
多様な人々の多様な交流は、空間の多様な用途、使い方の共存から生ま れる。
Open(オープン)
開かれた空間が心地良い
歩道や公園に、芝生やカフェ、椅子があると、そこに居たくなる、留まりたくなる。
つまり居心地が良く歩きたくなるまちなかづくりには、歩きやすい空間 づくりのみならず、まちの1階部分において人々の興味を引く、楽しい環境とすること、人々が思い思いの多様な活動ができる空間の形成、すべての人々に開かれ、滞在したくなるような空間づくりが必要だとされている。
近年、国土交通省では、地域の賑わい創出のためのイベントの場やオープンカフェとしての道路の利用などの道路空間の利活用により、人々が集い、憩うための場所を創出し居心地の良い空間づくりが実現できるよう道路占用許可の特例制度などを設けるとともに、申請手続の簡素化・弾力化に取り組んでいる。また、警察においても、道路使用許可手続の簡素化・弾力化に向けた取組みも進めている。
横井利明も毎週末、内田橋商店街が中心となって進めているまちづくりの会に参加し、積極的にまちのにぎわいづくりの議論に参加させていただいている。「居心地が良く歩きたくなる街」に向けた関心は極めて高い。ひきつづき、国や市、関係者とも協議を重ねながら、人中心の豊かな生活の実現やイノ ベーションの創出による新たな価値の創造と地域課題の解決を目指して、多様な人材が集い、交流する「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの創出に向け、研究や議論を重ねていきたい。
なお、内田橋商店街や明治学区、近隣企業や団体等が中心となり、現在、内田橋・堀川まちづくり協議会の立ち上げを検討している。