石破 茂 です。
昨日も衆議院島根県第一区補欠選挙の応援で安来市に参り、旧広瀬町、旧伯太町で街頭演説、街頭宣伝活動、個人演説会に参加致しました。各種世論調査では厳しい情勢が伝えられ、補選の結果次第では政局が流動化するなどと喧しく報ぜられておりますが、選挙は最後まで分からないのであり、日々勝利を目指してやるべきことをすべてやっておかなくてはなりません。現在の安来市は平成16年に旧安来市に能義郡広瀬町と伯太町が合併して誕生したものですが、広瀬町は昭和30年に山佐村と比田村が合併し、昭和42年に布部村を編入、伯太町は昭和27年に安田村、母里村、井尻村を合併し、昭和29年に赤屋村を編入した経緯があり、昭和の合併前のそれぞれの旧町旧村に独自の歴史と文化があるのであって、応援に行く際には事前にこれらをきちんと調べておかなくては訴えに共感を持って聞いて頂くことは出来ません。日本のすべての地域において、候補者は勿論のこと、応援に来る自民党の議員がここまで自分たちの地域のことを知っている、と地元の方々に実感して頂くのはとても大事なことだと思っております。
偉そうなことを言っていますが、私自身も今回慌てて下調べをしてみて、日本で唯一10月を「神有月」と呼ぶ出雲地方の歴史や文化の片鱗に接し、大きな驚きと感動を覚えました。古事記をきちんと学んでこなかったことを今更ながらに悔いています。
安来市古川町にある足立美術館は、米国の日本庭園専門誌のランキングで21年連続最高の評価を受けた庭園を有し、横山大観、上村松園などの名画を数多く所蔵している素晴らしい美術館です。私は上村松園の美人画が好きなので、ここに所蔵されている「娘深雪」「待月」を是非一度見てみたいと思っております。20日夜に伊豆諸島沖で発生した海上自衛隊の対潜ヘリ衝突事故で殉職された自衛官に心より哀悼の誠を捧げますとともに、今なお行方不明の諸官の一日も早い発見を願います。冷戦期から今日に至るまで、日本防衛の大きな要の一つが対潜水艦戦(ASW)能力であり、この維持向上は極めて重要であるところ、現場の部隊に過大な負担がかかっているとすれば、その改善は喫緊の課題です。対潜哨戒機の稼働率の向上も含めて政治の責任において可能な限り検証する必要があり、防衛予算の増額はこの観点からも精緻に議論されなくてはなりません。
今週の憲法審査会も「言いっ放し、聞きっ放し」の残念な展開に終始致しました。演説会ではないのですから、論点が拡散され一向に収斂されない現状は誠に由々しきことです。憲法ですから、3分の2の議員が賛成すればそれでよいなどということにはなりません。まずはどの会派も一致して賛成しうる条項(臨時国会の召集期限など)を取り上げ、議員としても国民としても憲法が実際に改正しうるものである、との実感を体験することが、迂遠なようでも優先されるべきと思います。前回も論じたように、あくまで権利を本質とする「集団的自衛権」と義務を本質とする「集団安全保障」は信頼性が大きく異なるのであり、ウクライナ戦争を踏まえた憲法議論はこの点をよく踏まえて行われなくてはなりません。来週の憲法記念日を前に、強くそのように思います。
明日から連休に入る方も、連休にもお仕事の方も、どうかご健勝にてお過ごしくださいませ。