「桜神明社古墳(南区)」の名古屋市指定文化財の指定に向けた調査が始まった。
「桜神明社古墳」の築造年は不明だが、五世紀後半(古墳時代)にはすでに存在していたとされている。直径36m、高さ4.5mの円墳で、墳丘裾の西から北にかけて周濠らしきものが残っており、比較的保存状態が良好な古墳だ。
さて、もともと「桜神明社古墳」は、「名古屋市文化財保護要綱」に基づく市指定文化財だったが、昭和47年4月1日に施行された「名古屋市文化財保護条例(現在の名古屋市文化財の保存及び活用に関する条例)」の施行とともに、市指定文化財から外されている。その理由を探ってみたものの、すでに50年も前のことで正確な資料は残っていないが、担当者によると「再指定に向けた申請が何らかの理由で提出されず、市指定文化財が解除されてしまったのではないか。」とのことだった。なお、昭和47年当時、半数以上の旧指定文化財が指定から解除されている。
1月6日(水)には、名古屋市教育委員会文化財保護室の学芸員さんが「桜神明社古墳(南区)」を訪れ、再指定に向けた調査の概要について、神社の運営をしていただいている桜神明社の氏子の皆さんに説明していただいた。
■ 古墳調査(文化財保護室)
〇測量調査
桜神明社古墳の形状等を確認するため地方の測量意を実施。
〇試掘調査
桜神明社古墳の以降の有無を確認するため、幅80㎝程度、長さ2~5m程度を数か所掘削。
今回実施する調査で得たデータをもとに、文化財指定の必要性について検討が行われることになる。
また、住宅都市局街路計画課の職員の方々も「桜神明社古墳」を訪れ、名鉄名古屋本線連続立体交差事業における地質調査の実施内容について氏子の皆さんに説明していただいた。
■ 桜神明社古墳付近の地盤調査(住宅都市局)
〇地質調査
桜神明社古墳付近の地盤の強さ等を確認するため、地下約20m~30mまで掘削し、直径10㎝程度の土質試料を採取する。
従来の計画では名鉄名古屋本線高架事業の際の仮線の設置にあたり、「桜神明社古墳」の一部を除却する計画だったが、桜神明社の氏子の皆さんの強い要請で「桜神明社古墳」は現状のまま保存活用する計画に変更された。連続立体交差事業における仮線は古墳の上を通過して設置し、仮線が不要になった段階で、すべて除却される。