石破 茂 です。
横浜市長選挙は明後日22日が投開票日となります。17日火曜日に続き、明日21日も小此木候補の応援に入る予定でおります。
私が応援に行くことについてご意見・ご批判も多く頂いていますが、私が幹事長在任中に筆頭副幹事長として支えてくれた友人が困難な状況にある時、陣営からの応援要請を断るという選択を私は致しません。横浜市長選挙の争点はIR(統合型リゾート)誘致の是非だけではありませんし、現時点において多くの有力候補者がIR誘致に否定的な立場を打ち出しており、現場の雰囲気からも既に主たる争点ではなくなっているように感じられます。
「人口が増え続け、日本一の市として発展を続ける、誰もが住みたい憧れの街・横浜」というのなら、何も今回四選を目指している現職を替える必要はないのでしょうし、「高齢・多選がよくない」というのならば、市政与党として責任をもって現市長の路線を踏襲する人を決定し、一致して推挙すべきだったのでしょう。
しかし、スイスの再保険会社スイス・リー社やドイツのミュンヘン保険会社がまとめた「自然災害リスクの高い都市ランキング」では、東京・横浜は世界主要都市の中でリスクが第1位と評価されており(数年前の数字ですが、実態はそれほど変わっていないはずです)、防災体制の強化が横浜市政の喫緊・最重要の課題であることは論を俟ちません。
コロナ禍で自宅にいる人が増えたために、空き巣や侵入強盗などが激減し、犯罪数全体は減っているものの、家庭内暴力や殺人はあまり減ってはいませんし、強制わいせつなどはむしろ増えています。先日の小田急線車内における傷害事件のように「幸せそうな女性を殺したかった」などという、荒んだ、許されない凶悪犯罪も起きています。
横浜市自体の人口は増加傾向にあるものの、次の世代を生み育ててくれる20代・30代の世代は概ね20年後には2割程度の減少が予想されており、医療・介護体制の逼迫と人口の急減に対する施策は今のうちに講じておかなければ間違いなく手遅れとなります。
国家公安委員長、防災担当大臣を務めていた小此木候補は、そのことに気付いたからこそ敢えて国務大臣・衆議院議員を辞してまでこの選挙に臨む決意をしたのだと私は信じ、最終日にも有権者に誠心誠意訴えたいのです。アフガニスタンを巡る情勢を見るにつけ、9・11同時多発テロ以降、アメリカとその同盟国がとってきた行動とは一体何であったのか、深く考えざるを得ません。
我が国は小泉政権下においてテロ特措法を制定し、アフガニスタンで活動している武装テロ組織に武器・弾薬・燃料・麻薬原料等が海路で渡ることを阻止すべく活動している多国籍軍の艦船に燃料を補給するため、海上自衛隊の補給艦や護衛艦を派遣してこれを支援してきましたが、タリバン政権の復活を目の当たりにすると、虚しさに近いものが感じられます。かつてアメリカがベトナム戦争において、政権が腐敗・堕落した南ベトナムを最終的に見限った事例と重なるようにも思われます。
アフガニスタンにおいて、民主主義と人権尊重思想の定着を目指してアメリカに協力してきた現地の人々がカブールの空港に殺到する様を見るにつけ、可哀想でなりませんが、民主主義も人権も、自らの手によって勝ち取ったものでなければ長続きはしないということなのでしょう。
敗戦後、国家の独立も、民主主義も戦って勝ち得たものではない日本は、決して他国のことと傍観してはいられません。昨年の今頃、圧倒的な数で現総裁を選出し、それを支えてきた、あるいは支える立場に今もある方々が、感染急拡大の最中に、次の総裁選挙に名乗りをあげると表明されることには個人的に違和感を覚えます。
衆議院議員の任期が迫り、国民の厳正な審判を目前に控えて、我々与党議員の為すべきことは何なのか、よく考えなくてはなりません。
柏市における妊娠中のコロナウイルスに感染していた女性が入院できず自宅で出産し、赤ちゃんが亡くなってしまったというような不幸極まりない事態はなぜ避けられなかったのでしょうか。現在妊娠中の女性のみならず、多くの国民が強い不安に駆られている病床不足に対して、責任を押し付け合っているような場合ではありません。
大切なのは重症化しない、死に至らないための医療体制の機動性・弾力性の確保である、と昨年の2月3日、横浜港にダイヤモンド・プリンセス号が入港したその日から同じことを言い続けているのですが、行政当局も、メディアも、コロナ患者用の病床がどれほど増えているかをほとんど報道しないのは何故なのでしょう。
恐らくはその増加数は感染者・重傷者の伸びに全く追いついてはいないはずなのですが、一体それはいかなる理由によるものなのか。医療に携わる人すべてが「医は仁術」と考えているとまでは言いませんが、苦しんでいる人のために働きたいと思っているからこそ医療を志した人も多くいるはずです。感染症は患者数が大きく上下するために、その受け入れに多くの経営上のリスクがあることは当然承知していますが、そうであればまさにそれは公的補償をもって対応すべきものです。今般の大雨で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
都心には酷暑の日々が戻ってきました。皆様、ご自愛の上、ご健勝にてお過ごしくださいませ。