衆院選が終わり、ようやく政治空白が解消された今、真っ先に取り組まなければならないのが、来たるべき冬のコロナ再流行に備えた医療確保と、コロナ禍で生活困窮に陥っている方々への緊急的な支援です。
◆優先度誤った子ども給付金
コロナ禍を乗り切るためには3つのステップがあり、まずは医療確保による命の保護、2つ目は緊急的な生活支援によるくらしの保護、3つ目に消費税減税などによる中長期的な景気対策が必要です。緊急的な給付金の必要性は、私も選挙前から訴えてきたことであり、異論はありません。むしろ政府の動きは遅すぎます。問題は、その支給対象と方法です。求められるのは緊急性であり、生活に困窮されている方々に迅速に現金を届けなければなりません。
この点で、18歳以下の子どもを対象とした10万円の支援、そのうち半額の5万円はクーポンで来年春配布をめどという与党案は、緊急的な生活支援としての意味合いが薄いものです。子どものいる世帯も千差万別で、経済的に豊かな世帯も多く存在します。生活に余裕のある方への現金給付は、貯蓄に回ってしまうことが昨年の給付で明らかになっています。また、与党案は所得制限を設け、世帯主の年収が960万円以下の場合を対象にするとのことですが、世帯主が960万円以下の収入でも、夫婦共働きでそれ以上の収入を得ている場合は支給されることになり、共働きが主の現状に合致しないアンバランスさと不公平感は否めません。子育て支援の充実は進めるべきですが、コロナ禍において、この給付は優先度を誤った支援であると考えます。
◆住民税非課税世帯を対象に
まず、優先されるべきは明日の生活にも事欠く世帯への支援です。どの層をもって貧困世帯とすべきかについて、一つには住民税非課税世帯を対象とすることが考えられます。住民税が非課税となる年収は、自治体や家族構成によって差がありますが、独身世帯の場合は100万円以下、会社員と専業主婦、子ども一人の場合は、おおむね200万円以下と見積もられます。こうした世帯はコロナ禍でさらなる収入低下に陥っている可能性もあり、折からの原油高や資源高も加わり、ギリギリの生活を強いられていることが想定されます。緊急的な現金給付は、まずこの層を対象とすべきです。
◆対案からの党勢立て直し
立憲民主党としても、あらためて困窮世帯に1人10万円を支給する法案を国会に提出しました。与党は困窮世帯に10万円を支給するとの案を示していますが、世帯当たり10万円では全く足りないという認識で、支給範囲を拡大した対案です。そして、今年7-9月期のGDP成長率は年率マイナス3.0%と発表され、長引いた緊急事態宣言下で、消費不況が際立っています。現金給付の後、中長期的には、全ての人が恩恵を受け、貯蓄には回らない消費税減税を中心とした経済政策へと移行すべきと考えます。
政府与党案に対し、こうした対案を示し、さらにその対案を国民に正確に伝えることから党勢の立て直しが始まると考えています。
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