11日、私は内閣委員会で、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案、通称「AI法案」に関し、質問を行いました。
◆身近なAIの脅威
ここ数年で、AIは国民生活に急速に浸透しました。今や、ネット検索しても、一番上にAIが収集分析した情報が表示されるほど、AIは身近な存在です。
AIの発展をどのように活用し、また一方で規制するかは、社会の大きな課題となっています。事業者の自主性を中心に据えた緩やかな規制を取ってきた日本のAI政策ですが、最近ではAIが乱用されることによって、国民の権利が侵害される事例が頻発しています。
古くは、AIが暴走して人類を攻撃するような大げさなSF映画もよく見られましたが、実際の被害はもっと身近です。
例えば、選挙候補者に関して、偽のスキャンダル情報やイメージ悪化につながる動画が、AIを利用して編集・拡散されることが発生しています。公職選挙法もこうした悪質な事例に対応しきれていないのが現状です。公正であるべき選挙と国民の判断が、AIによって知らず知らずのうちに歪められていることは大きな問題であり、国会・政府としても早急な改正に取り組まなければなりません。
◆日本は独自規制の道
新法の問題となるのはAI規制の方向性です。AI規制は、大きく分けて3つの方向性があります。一つは、権威主義的な独裁国に多い、国民統制の手段としてAIを利用する「デジタル権威主義」モデル。二つ目はアメリカ的な「デジタル放任主義」と言われる、AI規制やデジタル事業者規制に消極的なモデル。三つ目が、EUを中心とした、AI技術や事業者に「適切に関与」し、一定程度規律・規制する、「デジタル立憲主義」です。
質問では、日本はこの先、ヨーロッパ型の厳しい規制ではなく、かといってアメリカ型放任主義でもなく、もちろん独裁型でもない、イノベーション促進と、リスク対応を両立させる独自の規制の道を進む方針が示されました。基本的には事業者の自主性を尊重しつつ、事業者に国や自治体に協力する責務を課し、行政の指導・助言等を交えて規制するという、あいまいな、極めて日本的な規制と感じます。
◆巨大AI企業との対峙
このあいまいな規制で心配されるのは、海外の巨大企業への規制が十分に行えるかです。AIの大きな課題の一つに、巨大IT企業がAI開発等で利益を独占し、国家を凌駕する力を持ってきていることがあります。富の集中を背景に、国家の言うことを聞かない、つまり、民主的統制が及ばない企業がAIの世界を「統治」する状況が生まれているのです。
政府は、協力義務を法定化すること等により、海外巨大企業にも規制が働くと見込んでいますが、本当にそうなのか、厳しく運用を監視しなければならないと考えます。
また、巨大AI企業に対しては、税に関する新しい視点も登場してきています。その一つが、AIが生み出す莫大な付加価値を対象に課税し、財源とする案です。AI開発によって莫大な収益を上げ続けている企業に対し、既存の税体系では、十分な負担をお願いできません。利益に見合った負担をお願いし、それを財源にさらなるデジタルインフラ整備などにより、国民生活向上と、再分配に活用していくことが必要と考えています。
AIは便利で、今後の生活には欠かせない一方で、逆に人を傷つける道具ともなります。いかにバランスの取れた利用を図るか、引き続き、AI法の運用を監視して参ります。
スタッフ日記「ガンダムとアトム」
兄夫婦がガンダムのファンでプラモデルなどが家に飾ってあります。私自身はアニメファンではないのですが、昭和の人間なのでガンダムはチラ見したことがあります。あれ、と思ったことにガンダムは敵から攻撃されたとき、大変痛そうにしています。
ロボットなのに?その後、あるテレビ番組で、ガンダムは実は中にパイロットが乗って操縦していることを知りました。だからロボットがダメージを受けると、中の人も「うっ」とかなるのかと納得しました。
さらに昔の話になりますが、鉄腕アトムがヒーローの時代がありました。アトムはガンダムと違い、自立したロボット、いわばお友達のような存在です。
SFの世界ではロボットと人間の関係性に考えがめぐらされ、ロボット3原則が早くから提唱されていました。紙面の都合上、簡略に記しますと
◯第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。
◯第二条:ロボットは人間の命令に従う。命令が第一条に反する場合はこの限りではない。
◯第三条:ロボットは前述一条、二条に反する恐れのない限り、自己を守らなければならない。
第一条、第二条は当たり前のようですが、第三条は考えさせられます。
ロボットはそれ自体で存在する意味がある。ロボットに対するある種リスペクトが感じられるというか、私の勝手な解釈ですが。皆さんはどう思われますか。
(ななリターンズ)
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第1173号 AIの未来

11日、私は内閣委員会で、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案、通称「AI法案」に関し、質問を行いました。 ◆身近なAIの脅威 ここ数年で、AIは国民生活に急速に浸透しました。今や、ネット
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