新帝陛下御即位など

 石破 茂 です。
 新帝陛下が即位され、日本は新しい令和の時代を迎えました。新帝陛下、新皇后陛下のもと、日本国が平和で、希望に満ちた国となるように願いますとともに、上皇陛下、上皇后陛下となられた先帝陛下と皇后陛下のご健勝を心より祈念申し上げます。

 平成の時代は、先の戦争を実際に体験された方々がほとんどおられなくなった時代でもありました(もちろん今もお元気な方もいらっしゃいますが)。実質的に「戦後が終わった」時代であったと言えるのかもしれません。
 実際に日中戦争に一兵卒として従軍された田中角栄元総理は「戦争を知っているヤツが世の中の中心である限り日本は安全だ。戦争を知らないヤツが出てきて日本の中核となったとき、怖いなあ」「しかし勉強してもらえばいいやな」と語っておられたそうです。戦争を知らない世代が日本の中核となるのは時の流れとして必然のことではありますが、問題は元総理が後段で述べられた「勉強しているか」という点にこそあります。
 ここ数年、年末年始やゴールデンウィークには、以前NHKで放映された「映像の世紀」をアーカイブスで全編通して観ることを習わしとしているのですが、今回もまた思いを新たにさせられた点が多くありました。新作である「昭和 激動の宰相たち」も秀作でしたし、前回書籍としてご紹介した「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」も、2011年に放映されたNHKスペシャルの映像(5回シリーズ)で見てみると新たな感慨を覚えました。
 歴史が「生乾き」状態で、価値観やイデオロギーが対立し、歴史の検証が大きな政治・外交問題に発展する危険性を孕んでいた時代とは異なり、令和となった今こそ我々は歴史を冷静に見つめ直し、徹底的に議論しなくてはなりません。それは過去の過ちを繰り返さないためにも、新しい時代の外交を切り開くためにも、不可欠な礎となるものであり、今が最後の機会と考えます。 

 北朝鮮のここ数日の行動は、それなりに明確なメッセージ性を持ったものです。「飛翔体」とは「高空を(翼で飛ぶ航空機や巡航ミサイルとは異なり)揚力によらずに飛ぶ物体」のことであり、飛行距離や高度とは関わりなく、弾道ミサイルやロケットがこれに該当します。「飛翔体ではあるが弾道ミサイルではない」というカテゴリーは存在せず、トランプ氏の言うように「短距離弾道ミサイル」がその正体なのですが、そう断定的に言ってしまうと国連安保理決議違反となって今までの対話路線を否定してしまうことになるので敢えて「飛翔体」という表現を今日の防衛大臣会見までは使っていたものと思われます。
 一方において総理は先日「私は無条件で金委員長と向き合う」と述べられた後、昨日の内閣委員会で「これは今までの方針をさらに明確に述べたものだ」と説明されたのですが、結局「対話の開始それ自体に条件は付けない」が、「国交正常化には当然条件がある」、ということであるという理解をする他はないのでしょうか。

 改選後の鳥取県議会において、今まで三つの会派に分かれていた自民党県議会議員の一本化が実現する運びとなりました。改選後、自民党鳥取県連会長として、県議会会派一本化の「強いお願い」をしたのですが、その実現は本当に有り難いことでした。今日に至るまでの関係者各位のご努力に心からお礼を申し上げます。

 島根選挙区選出の島田三郎参院議員が8日逝去されました。享年62歳、私と同学年であり、竹下登先生の秘書を務めて居られた頃から存じ上げておりました。あまりに早いご逝去に言葉もありません。御霊の安らかならんことを切にお祈り申し上げます。

 ハーバード大学のスティーブン・レビツキー、ダニエル・ジブラット両教授の共著「民主主義の死に方」(2018年・邦訳は新潮社刊)を読んでみたいと思っていますが、もし既にお読みの方があればご感想をお知らせくださいませ。

 週末は11日土曜日が憲法コクミンテキギロン有志の会にて講演・トークセッション(午後2時・都内)。
 12日日曜日は山陰自動車道 鳥取西道路開通式・祝賀行事(午後1時・鳥取市徳尾)、自民党三朝町支部総会にて講演・懇親会(午後4時・プランナールみささ)という日程です。
 東京都心は初夏の陽気となりました。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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