石破 茂 です。
今国会会期末の6月23日まであとひと月余り、ここのところの永田町の話題は専ら解散や人事に関するもので、報道も主に政局ネタを取り扱っているようですが、この光景にはもう辟易気味です。「誰と誰が、いつ、どこで会った」とか、「日頃の面倒見が良い、悪い」とか、政治の生業が人間相互の関係を調整することも含むこと、それらが極めて重要であることも十分に承知しておりますが、まずは「この国をどうするのか」の議論があってしかるべきでしょう。近年それが大きく欠落していること、あるいはメディアがこれを全くと言っていいほど報じないことに、慄然とするような危機感を感じております。
ウクライナとロシアの戦争も、純粋に軍事力だけを比較すればロシアの兵員数はウクライナの5倍、戦車数は6倍、戦闘ヘリ数は17倍、戦闘機数は16倍です。国際法の順法意識、法の支配の重要性、人道主義の重要性などは、単なる美辞麗句ではなく小国が味方を得るにあたっての重要な価値観ですが、今後の戦局については通貨価値や財政事情も冷静に考慮した上で論じなければ方向性を見誤ります。このような全体を考える機会が今のところ見出せないことにも違和感を覚えます。
「異次元の金融緩和」を続けた結果、日本円が下落し、付加価値の総和であるGDPは人口も就労者数も日本の3分の2であるドイツに抜かれて世界第4位になりました。GDPに占める輸出の割合は、ドイツ47%、韓国44%に比して日本は18%で、OECD36カ国中35位なのですが、これをどのように考えるべきなのか。ドイツはMade in Germanyに拘り、決して安売りはしないそうです。日本は国内投資を抑え、非正規労働者を増やして賃金を上げず、人材も育成せず、生産拠点の多くを海外に移し、通貨安で儲けてきました。
AIを使って作成した自民党の広報ポスターは「経済再生 実感をあなたに」と謳いますが、キャッチフレーズは侃々諤々たる議論の上で定めるべきものではないのか、これが国民感情と乖離しないことを切に願います。あまり議論されてはいませんが、働き方改革によって全就業者の12%に当たる建設業や物流業に従事される方の残業代が減ったことにも注意が必要なのは当然です。
本日の総務会で政治資金規正法改正案が了承され、国会提出の運びとなりました。多くのご批判が予想されますが、政治資金の透明性の確保もさることながら、政治資金を今以上に党に頼ることになるのは決して好ましいこととは思っておりません。説明は困難ですが、国民にどのようにご理解を頂くのか、今後なお一層の努力が必要です。
いつにもましてバタバタとした慌ただしい一週間でした。今週、小泉元総理や山崎元副総裁、亀井元政調会長から賜ったご指導を拳拳服膺しながら、週末は少し心静かに過ごしたいと思っております。
皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。