石破 茂 です。
各種世論調査で内閣支持率が大きく低下しています。その後もGo to キャンペーンの全国的な一時停止が響いたとか、ステーキ店での飲食が不評だったとか言われていますが、では仮にGo to をそのまま継続していればどうなったのでしょうか。「命の軽視」「経済優先姿勢鮮明に」などという見出しで強い批判に晒され、やはり支持率は大きく低下したように思います。最初から「とにかく叩く」という方針が決まっていたのではないかと邪推すらしたくもなりますし、自民党内が動揺している、などという報道に接すると、何を今更と言いたくなります。「5人以上の飲食」についても議論が混乱気味ですが、たとえ2人であっても至近距離で対面して大きな声で会話しながら飲食すれば危ないに決まっていますし、10人であっても間隔を十分にとって会話を極力控えていれば比較的安全なのであって、単に人数の多寡の問題ではないはずです。今後、「自粛警察」が再登場して5人以上の飲食者を告発することになるなど、想像したくもない光景です。
春頃から言っているのですが、「命か経済か」のように二者択一を迫るような考えはあまりに一面的かつ単純ではないのでしょうか。どちらも大切であり、守るべきは「社会そのもの」なのだと思っております。
旅行や外食、エンタテイメント参加などの「接触機会」を増やさなければ経済は上手く廻らないでしょう。しかしそれと併せて「感染機会」を減らすことは可能なはずです。マスク着用、消毒の徹底、距離を十分にとる配慮、大きな声での対面の会話はしない等々の対策を徹底して行うことで、健康と経済の両立を図るべきではないのでしょうか。
建築基準法によって換気を義務付けられているホールであれば、相当の頻度で全体の換気が行われます。併せてマスク着用、会話禁止、一席かつ一列ずつ間隔を空ける、などの感染対策を徹底して行われるコンサートや芝居などは、もう少し頻度を上げて開催することも検討してもよいように思います。エンターテイメント業界への打撃は旅行業に次いで厳しいのであり、ここにも配意は必要です。一方で、医療崩壊を防ぐための医療資源(人員、設備、装備)への手当ても、本来もっと早くに秩序立てて行われるべきものではなかったのでしょうか。厚労省のホームページには、新型コロナウイルスに罹患した際の治療法が詳細に掲載され、随時更新されています。これを実行できる医療施設がどれほどあるのか、医療関係者にかかる負荷はどれほどなのかをよく調査・分析して、可能な限りの対処をしなくてはなりません。
新型コロナには誰でもかかり得るのであり、どうすれば重篤化せず、死に至らないかをもっと啓蒙して国民の安心を確保すべきです。日本版のCDC(疾病予防管理センター)の創設の必要性について前回記したところ、「政府が大本営発表をするのでは意味がない」とのご意見を頂きました。まずは政府がバラバラな対応をしないこと、を主眼としての考え方で、しかもCDCの創設によって、現状よりもさらに科学的根拠を明確にした対応が可能となることを前提と考えております。
台湾や韓国の関係者と新型コロナウイルス対応について意見交換をしたとき、「それはCDCが適切に機能したからだ」と全く同じ答えが返ってきたことが忘れられません。現在、我が国の医療現場が大変であり、事態が重大局面を迎えているからこそ、今一度、日本版のCDCはどうあるべきか、その必要性を訴えたいと思った次第です。週末はまた鳥取に戻る予定です。
鳥取も含め、日本海側に突然の大雪で、色々な被害が出ています。まずは身の安全を確保することを考えていただきたいと思います。
皆様、健康に留意され、お元気でお過ごしくださいませ。