佐久訪問など

石破 茂です。
 8日木曜日に講演してきた長野県佐久市には、貞祥寺という同市を代表する古刹があるのですが、ここに太平洋戦争末期に帝国海軍で使用された人間魚雷「回天」の模型と世界平和を祈念する「回天の碑」があります。戦局の悪化を何とか打開すべく、その願いを込めて「回天」と名付けられた人間魚雷は、昭和19年11月にウルシー泊地攻撃(玄作戦)のため初めて使用され、終戦までに49隻が出撃したものの、大きな戦果を挙げることもないままに平均年齢21歳、145人の戦死者を出しました。この開発に携わり、11月20日に玄作戦で戦死した仁科関夫少佐(2階級特進・享年21歳)の父君の出身地が佐久市であったため、貞祥寺にこの碑と模型があるのだそうです。当初この計画に強く難色を示した海軍首脳部は、乗員脱出装置の装着を開発の条件としましたが、結局それも実現はしませんでした。

 前回、戦艦大和について記しましたが、神風特攻隊や回天など、愛する祖国や家族を想い、生還が不可能な作戦に殉じた人々の思いを我々はもう一度想起しなければならないと痛感しております。
佐久市は11の酒蔵を有する日本酒の街であり、安養寺味噌や安養寺らーめん、五郎兵衛米、鯉料理などの豊かな食文化や、バルーンフェスタなどのイベント、さらには「北斗の拳」の作者である武論尊氏の出身地としても知られていますが、この次行く機会には是非この貞祥寺も訪れてみたいと思っています。

 アメリカの提唱するホルムズ海峡での有志連合に我が国が参加するか否か、政府部内でも意見が分かれているようです。自民党内にも様々な意見がありますが、5日月曜日の会議において「そもそも海上自衛隊を派遣するような状況なのか、そこが明らかにならなければ議論する意味がない」「国民に対して明確な説明もないままに、自衛官の生命を賭けて派遣することはあり得ない」等々、真っ当な意見が展開されたことはとても良かったと思いました。事柄の性質上、公に言えないこともあることは十分に承知していますが、政府はきちんと議員の問いに答えるべきです。わざと答えを避けたり、はぐらかしたりするような対応は厳に慎んでもらいたいと思います。
臨時国会において、院の構成をしなければならない参議院は別として、衆議院においては全く議論のないままに閉会となりましたが、日米貿易交渉、米中貿易摩擦、日韓問題、中東情勢等々、議論しなければならない課題が山積しているときに、これで本当に良いとは全く思いません。「参院選において、憲法について議論すべきとの多くの声を頂いた」と言うのなら、これを受けて国会休会中に三日間でも四日間でも、自民党において集中して憲法問題を議論すれば、国民に自民党の真剣さが伝わると思うのですが、それも全くないままに夏休みに突入して永田町は閑散としていますし、マスコミの関心も九月に行われる政府・党役員人事に集中しつつあるようです。国会議員の責務とは何か、今更ながらに懊悩する日々が続きます。

 ここしばらく日韓関係について可能な限りの文献を読んでいるのですが、故・小室直樹博士の「韓国の悲劇」(カッパビジネス・昭和60年)は誠に優れた深い論考です。30年以上も前の、中曽根康弘総理・全斗煥大統領時代に書かれたものですが、それだけに本質を見極めておられるように思いました。
小室博士の「日本国民に告ぐ」(ワック出版・平成17年)や「国家権力の解剖」(総合法令・平成6年・色摩力夫氏との共著)「国民のための戦争と平和の法」(同・平成5年・同)など一連の著作には随分と蒙を啓かれたものですが、本作も、いま書店に平積みしてある「嫌韓本」とは全く厚みを異にする論考です。既に絶版とはなっていますが、入手は可能と思います。ご一読をお勧めいたします。

 7日水曜日には、鉄道雑誌の企画で宇都宮浄人・関西大学教授と対談させて頂き、同教授の交通政策論・都市政策論には随分と啓発されました。私自身、単なる「鉄道好き・乗り物好き」であってはならないことを反省させられたことでした。

 週末は地元でお初盆のご家庭を何軒かお参りさせて頂く予定です。酷暑の日々が続きます。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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