石破 茂 です。
アメリカ合衆国元国防長官 ドナルド・ラムズフェルド氏が、さる6月29日、88歳で逝去されました。
43歳の若さでフォード政権の国防長官に就任、その後史上最年長の68歳でブッシュ(子)政権で再び国防長官に就き、ミサイル防衛構想を推進し、イラク戦争を勝利に導きました。
政治家である以上、当然その評価は毀誉褒貶相半ばするのですが、私が防衛庁長官を務めた2年間、年齢は相当に離れていたものの、なぜか波長が合い、共に良い仕事が出来たことはとても有り難いことであったと思っております。
同長官との間で弾道ミサイル防衛に用いるSM-3ブロックⅡAという次世代迎撃ミサイルに関する日米共同研究・開発に合意したのもその頃で、それが今日ようやく配備に至っています。イラク戦争終結後のイラクの人道復興支援に自衛隊が参加するにあたっても、同長官と協議を重ね、日本国憲法の許容する範囲内でイラク特措法を成立させ、実現を見ました。
その後、ラムズフェルド氏も私も長官職から退任したあとで、ワシントンのご自宅を訪問したこともありました。彼が庭に出て家の外壁のペンキを塗り直していたのには驚きました。強面で百戦錬磨、強いリーダーシップという一般の印象からは程遠い穏やかな姿に、知られざる一面を見た思いでした。「君は45歳だそうだが、私も43歳で国防長官になり、今再びこの齢で同じ仕事をしている。とてもやりがいのある素晴らしい仕事だ」と言っていた姿が忘れられません。お互い無駄話をするのが嫌いだったこともあり、議論のテーマを一つ一つ片付けていく彼のやり方は、小気味よいものでした。
「自分がいなければこの組織は機能しない、と言っているヤツがいる。墓場に行ってみろ。あそこで眠っているのは生前にそんなことを言っていたヤツばかりだ」
私が好きなラムズフェルド語録の一つです。御霊の安らかならんことを切に祈ります。今週は事前準備と併せて、ほとんどの時間を東京都議会議員選挙の応援に費やしましたため、ラムズフェルド氏の思い出話だけになってしまいましたが、事情ご賢察のうえ、何卒ご容赦ください。
もう今年も半年が過ぎました。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。