新年ご挨拶

 石破 茂 です。
 新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
 
 山陰地方は年末年始にかなりの降雪となりましたため、陸路・空路共に運休や欠航が相次ぎ、在京の年越し・迎春となりました。
 最近は安全第一の考えからか、早々と前日のうちに運休や欠航を決めるようになりましたが、飛行機の場合、以前のように目的地まで条件付きで飛ばし、機長が僅かな雲の切れ間をついて着陸し、乗客から「有り難う!」との声と共に拍手が沸き起こるような光景はもう見られないのかもしれません。
 鉄道や飛行機ばかりではなく、4日には羽田まで向かうタクシーが予約した時間に到着せず、確認してみると「確かに予約は受けたが、ドライバーに伝えるのを忘れていた」との回答に唖然としてしまいました。他のタクシーに変更して何とか事なきを得たものの、この国の歯車は何処かが狂いつつあるように思われてなりません。使命感、責任感、矜持などという言葉が死語になるようではもはや国も終わりです。誠実や実直などといった価値観が軽侮され、阿諛追従や忖度が罷り通る日本の国であってはならないと痛切に思います。

 年始に多くの日程が飛んでしまいましたため、お休みの期間に恒例としているNHKの「映像の世紀」を通して観る機会に恵まれました。中でも近作の「太平洋戦争 銃後 もう一つの戦場」「中国 革命の血と涙」の二作は大変見応えのあるもので、是非ご覧になって頂きたいと思います。
 戦中から戦後など、価値観が大きく転換した際、「実は自分も前からそうだと思っていた」などと言い出す人は存外多く居るもののようです。今の経済政策にしても外交・安全保障政策にしても、同様のことが言えるのではないでしょうか。
 資本主義、民主主義、安全保障政策、社会保障政策など、今我々が当然のものとして享受している社会のシステムは、全て人口の増加を所与の前提としていたのであって、それが崩れつつある今、根幹が揺らぎ始めるのは当然のことであり、根本論に立脚しないままに弥縫的に取り繕おうとしてもそれは無理というものでしょう。偽装的、欺瞞的な状況から何としても脱却する一年としたいものです。

 オミクロン株の感染が沖縄・山口・広島などの米軍基地が所在する地域から拡大しつつありますが、日米地位協定により日本国の検疫が及ばないなどという事態はどう考えても不合理です。地位協定は、これと一体である日米安保条約とセットにして論じなくてはならず、集団的自衛権の本質的な核心はここにこそあります。
 
 今まで怠惰にして突き詰めて考えることの無かった課題のあまりの多さに呆然とするばかりですが、本年も皆様のお知恵をお借り致したく、重ねて何卒よろしくお願い申し上げます。
 明日からの連休、どうか皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

PR
石破茂
PR
石破しげるをフォローする
政治家ブログまとめ