通常国会が開会し、来年度予算の審議がスタートしました。
◆「おぬし、悪よのう…」
今国会は何といってもこのタイミングで大幅増税が必要か?が審議のポイントです。政府は、防衛費増額や少子化対策でお金が足りないので増税が必要という理屈ですが、本当にそうなのでしょうか?
実は、昨年2021年度の国の一般会計税収は過去最高を記録しています。しかも過去最高は2年連続で、2020年度より約6兆円も増えているのです。防衛費倍増には年間5~6兆円程度増額が必要ですが、すでにその分の税収が確保される計算です。
さらに、今年2022年度の税収も3年連続で過去最高になると見込まれています。
つまり、国民が取られるお金はすでにうなぎ上りに上がっているのです。時代劇でたとえて言うなら、今の政府は、年貢が高いのに問答無用にさらに農民から搾り取ろうとする悪代官のようなもので、まさに「おぬし、悪よのう…」の世界です。
◆ステルス増税!
個々の税の税率を上げる増税はまだこれからですが、実はすでに目に見えない「ステルス増税」は始まっています。それが消費税です。消費税は所得税や法人税と違って、モノやサービスを買うたびに発生し、値段に応じて10%分上乗せで払わなければなりません。つまり、物価が上がると自動的に消費税の支払額も増える仕組みで、月々取られる金額は確実に上がっていきます。
例えば今まで100円だったものが110円に値上がりすれば、支払う消費税は10円から11円へとアップします。支払総額では110円から121円になります。これが日々の全ての買い物に発生するのですから、積もり積もれば大変な増税となります。賃金がロクに上がらない中、支払額だけが上がっていくのですからたまりません。
結局、物価高で値上がりした商品に対して支払うお金は、売り手の利益や労働者の賃金だけに回っているのではなく、しっかり国に収める税金にも回されているのです。すでに税収のうち最も多いのは消費税で、全体の約3分の1を占めています。物価が急上昇している今年度は、さらに消費税収は増えることになるでしょう。
このステルス増税を国会審議も法律改正も無しに出来るという点で、つくづく、消費税は徴収する国にとって都合が良く、庶民にとっては苦しい税であることが分かります。
◆個人だけにしわ寄せか
足りないから増税、しかも増税ターゲットは賃金が伸びない個人という政策を続けていては、いつまで経っても経済の好循環は生じません。税収が過去最高となった原因の一つに法人税収の増加があります。個人がステルス増税と実質賃金の低下で苦しめられる中、大手輸出企業には過去最高の利益を上げる企業が続出しています。つまり、負担する余裕のある企業は確実に存在するのです。
法人税は昭和末期の42~43%台から今では23%台に引き下げられていますが、法人所得が増えても、それが賃金に回されず、内部留保だけが積み上がっていく今、増税と減税を組み合わせて、負担のあり方を見直していかなければならないでしょう。
増税ありきではなく、個人だけにしわ寄せが行かないように負担のあり方を見直していくことこそ、予算と税収の議論に必要な視点だと考えます。
スタッフ日記「誉れ高き天平美人」
最近、よく幼少の頃を思い出します。聞くところによると、歳をとった証拠だということですが、そうでしょうか?
子どものころ、私の家では何か事ある事に、ご先祖様をお祀りしている仏壇に手を合わせ、お供え物をして、今日あった事を報告し、また感謝の気持ちを伝えていました。いわば、仏壇は家の中心のような存在でした。
その仏壇も私が小学6年生の時に新しい仏壇に入れ替え、以前より金箔を施した大きな仏壇が備え付けられました。
古い仏壇はお寺さんがねんごろにご供養した後、お焚き上げとなりましたが、その仏壇には1枚の絵が描かれていました。
絵の中の仏さまはふくよかなお顔、ぽっちゃりとした優雅な体つき、左手には如意の宝珠を持ち、華やかな衣を身につけていました。小さいながら、綺麗な人が描かれているな、と拝みながらいつも眺めていたものでした。
成人してから、その絵が薬師寺の「吉祥天女像」というのだと知りました。
国宝で天平時代の日本最古の美人画、美と幸福の女神とされ、修正会のご本尊として今なお信仰を集めている、その絵がまさしく私が小さい頃に拝んでいた実家の仏壇の絵と全く同じだったなんて、夢の様な気持ちでした。
縁とは、不思議なもの。幼かった頃に心を熱くしていたものに再び出会う事となり、今も吉祥天女画像の写真を雑誌などで見る度、実家の仏壇との不思議なご縁を感じます。(ムーミンママ)
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