バイデン大統領が副大統領時代の機密文書が、昨年11月2日以降、ワシントンの個人事務所や私邸で見つかっている。 アメリカでは、大統領や副大統領が退任するときには、職務に関する文書を国立公文書館に渡すことが法律で義務づけられている。 先の中間選挙の結果、下院は共和党が過半数を握っている。トランプ前大統領も、機密文書を多数自宅に保管していたことを民主党に厳しく批判されており、バイデン大統領にとっては、今回はそのブーメラン効果とも言われるような逆風となったのである。バイデン政権にとっては、頭の痛い問題である。 それでは日本の公文書管理はどうなっているのか。行政のトップが公職退任時に、職務上の公文書を公文書館に引き渡すというようなルールはない。 私も行政の長を務めたが、大臣在職中は、公文書を自宅に持ち帰ることがよくあった。それは、職場ではゆっくりと読んで検討する時間がないからであり、夜、自宅で復習するためである。また、週に1日は公文書管理の日を設け、項目毎にファイルして自宅で保管していた。 退任時には、すべてシュレッダーか焼却の処分にしたので、全く残っていないが、処分方法に関しても何の決まりもない。 公文書の機密性について言うと、90%はほとんど公表資料である。大臣にまず説明した後、同じ資料をマスコミに配布するからである。記者たちは、役人から提供された資料で記事を書く。その資料は、役所の担当部署で保管されているはずである。 つまり、機密性の高い文書はほとんどなく続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』