プーチンの焦り:住民投票による併合政策

 アメリカを中心とするNATO諸国は、ウクライナへの軍事支援を強化している。そのため、侵攻したロシア軍と、これに抵抗するウクライナ軍の間で激しい戦闘が続いており、戦争の長期化が危惧される。 ロシアは、首都キーウの攻略に失敗し、東南部に攻撃を集中している。マリウポリを支配下に置き、ドンバス→マリウポリ→クリミア→オデーサへと占領地域を拡大し、さらにはモルドバにまで到達しようとしている。 モルドバのウクライナ国境周辺には、ロシア系住民が多く住む沿ドニエストル(トランスニストリア)共和国がある。国際的には独立国として承認されていないが、1500人のロシア軍が駐留している。この帯状の地域がロシアの支配下に入れば、東西、そして南からウクライナを攻撃できる。北は、ロシアの友好国ベラルーシである。 この占領計画を実行に移すのは容易ではないが、ロシアは、軍事力のみならず、経済、社会、生活のロシア化、そして住民投票という手を使う。南部のヘルソン州では、ロシアの通貨ルーブルが導入されたり、レーニン像が再建されたりしているが、住民投票抜きでロシアへの併合をプーチン大統領に求める動きも出てきた。 ウクライナ東部のルガンスク、ドネツク両州のうち、親露派武装勢力が実効支配している地域(それぞれ、ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国を標榜)については、ロシアは2月21日に国家と続きをみる

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