感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(3)情報公開

 メキシコやアメリカの事例が伝えられた2009年4月24日以降は、マスコミ報道は新型インフルエンザ一色となり、国民の関心も高く、まさにウイルスとの戦争が始まったという感じで、私は、安全保障の専門家として、危機管理体制を十分なものにするために全力で当たった。 危機管理の基礎は、正確な情報である。流言飛語でどのような悲劇が生まれるかは、関東大震災の例を見ればよく分かる。そして、組織の上位のリーダーから伝えられる情報ほど信頼性が高くなる。 しかも、情報伝達は迅速でなければならない。逆に遅延すると、不安になった国民は、情報が欲しいばかりに流言飛語でも何でも信じてしまう。また、基本的にすべての情報は公開すべきである。 このような基本方針を立てて、私は、午前1時から午前6時までの時間(この時間は、ほとんどの国民が就寝中である)を除いて、重要な情報は、私自らが記者会見で直接国民に伝えることにした。 しかし、メディアは「目立ちたがりのパフォーマンス」とか揚げ足を取る。そして、会見しなかったらしなかった続きをみる

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