日本学術会議問題が、国会の一つの争点になっている。前例踏襲をやめて行政改革を断行しようという菅首相にとっては打撃である。私は、この組織は廃止すべきであると考えるが、この問題で、船出した菅政権が足を引っ張られるのは残念だ。 政治家を「イデオロギー型」と「実務型」分類すると、ナショナリズムの旗を掲げて、極右陣営にまで支持を拡大したのが安倍首相であり、典型的なイデオロギー型である。一方、思想信条を前面に出さずに、コツコツと実績を積み上げていくのが実務型・官僚型で、菅首相はこの型のはずである。 携帯電話料金の引き下げ、不妊治療の保険適用、オンライン診療の恒久化などの政策を見れば、そのことがよく分かる。 携帯電話料金が安くなったり、不妊治療に保険が適用されたりするのに反対する国民はあまりいない。だからこそ、国民は菅内閣を高く評価したのである。任期はわずか1年である。その間に成果を上げようと思えば、国民が成果を実感できるように実務的に仕事をこなしていくしかない。 ところが、イデオロギー型政治手法が突出したようなイメージになってしまった。学術会議問題は、「右派による左翼学者の切り捨て」とイメージされたのだ。地味で、裏方に徹し、政治色がないことが菅首相のセールスポイントである。それが、就任1ヶ月にして、「学問の自由を弾圧する右寄りの強権政権」という烙印を続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』