冬将軍が到来する中で、ウクライナ戦争は終わりそうにない。他国を侵略したロシアが悪いに決まっているが、ウクライナ支援に全力を挙げるバイデンアメリカでも、ゼレンスキー批判がある。とくに、保守派の中にそのような意見があるのは注目に値する。 バイデンは、「民主主義vs権威主義」という図式でウクライナ戦争を捉えているが、共和党保守派は、歴史を踏まえて、もっと複眼的な観察をしている。私は若い頃、アメリカのバプテスト系の幾つかの大学で授業をする機会を得たが、信仰心の篤いスタッフや学生に囲まれて快適であった。今でも、それらの大学とは様々な関係を保っているが、そこを拠点とする保守を代表するような論客の言論は私の予想に反していた。 今回のウクライナ戦争については、彼らは、プーチンを悪魔と見なしたり、ウクライナ戦争を「民主主義のための戦い」とは見なしていない。そういうイデオロギー的な対立軸ではなく、ウクライナの名の下にアメリカが戦争を行っているのだという冷めた現実的な認識である。彼らの議論の大筋は、私の視点とほぼ同じである。 具体的には、まずはNATO東方不拡大の約束とそれを守らなかったアメリカに問題の根源があることを指摘するのである。ロシアにとって、ウクライナは、たとえばハンガリーやルーマニアとは全く違う意味を持つ兄弟国である。言葉も文化も近い。その国が敵の軍事同盟で続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』