ウクライナを注視する習近平の思惑

 2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻し、3ヶ月が経過しようとする今も戦闘が続いている。ロシアがウクライナに襲いかかったように、中国が台湾に侵攻してくるのではないか(台湾有事)という可能性が、これまで以上に論じられるようになっている。しかし、台湾とウクライナとの相違点についてもきちんと整理しておく必要があるし、日本への影響もまたウクライナ戦争とは大きく異なる。 実は、ウクライナ状況を最も注意深く見ているのが習近平である。台湾を武力統一した場合に、どのような国際的反応があるのか。ロシアに科された経済制裁、ウクライナへの武器支援などの実態をつぶさに観察していると思われる。 大国ロシアが予想外に苦戦し、国際的孤立を招いている。西側による最新鋭の武器の提供がウクライナ軍の激しい抵抗を可能にしているからである。 中国は、軽々に台湾に侵攻することはあるまいが、同時にアメリカと伍するだけの軍備の充実にさらなる努力を展開するものと思われる。 1972年のニクソン大統領訪中を契機として、アメリカも日本も中華人民共和国を唯一の中国として承認し、台湾は中国の一部であるという認識を確定した。したがって、台湾を独立国とは認めていない。その点では、独立国であるウクライナにロシアが侵攻するのとは異なる。 アメリカは、中国との国交樹立に際して、台湾関係法を制定し、「台湾住民の安全のために適切な行動をとる」とした。アメリカ製兵器の台湾への売却はその「適切な行動」の1つであるが、軍事介入することまでは明言していない。 台湾の独立は認続きをみる

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