25日、私は予算委員会第3分科会で、麻生太郎財務大臣と日本経済の現状について質疑を行いました。
◆現状認識甘い麻生大臣
質疑では、17日に発表され、対前期比マイナス1.6%と大幅な落ち込みとなった昨年10~12月のGDP速報値について、麻生大臣に率直な感想を求めました。麻生大臣は安倍総理の答弁と同じく、台風や暖冬の影響を受けたとして、消費税増税の影響をごまかしつつ、経済は内需を中心に緩やかに回復しているという、現状から全く乖離する見解を示しました。私は2014年4月の消費税8%引き上げの後の2015年2月の予算委員会でも、増税の悪影響を認めずに楽観的な経済見通しを繰り返していた麻生大臣を厳しく追及しました。
しかし、結局、政府見通しの甘さは現実となり、見通しより大幅に低い経済成長率に終わる結果となりました。今回も、政府は同じく甘い見通しを維持しようとしています。
◆コロナの影響も深刻
消費税増税の影響で落ち込んだ消費に、さらに大打撃を与えることが確実なのが、新型コロナウイルスです。すでに中国人観光客は、コロナ拡大以前の1月には1日あたり2万人を超えていましたが、現在は1日1000人以下に落ち込んでいます。コロナの影響が長引けば、年間で、数百万人規模で外国人観光客が減少することが見込まれます。また、国内でのイベント中止や、買い物に行くことを控えることなどで、国内消費にも大きな影響が出始めています。今年1~3月のGDPは、昨年10~12月に引き続いて大幅な落ち込みとなることが避けられない状況です。東京オリンピック中止の検討さえもささやかれる中、このままでは、日本経済は真っ逆さまに転落していってしまいかねません。
◆家計に届く財政出動が必要
このような深刻な経済危機の中、甘い見通しで経済対策に臨むことは許されませんが、政府は過ちを認めず、重い腰を上げようとしていません。率直に経済の厳しさを認め、緊急の大規模な財政出動を行い、支援を必要としている方々に直接届く政策への転換が必要です。私は質疑で、経済見通しを改め、直接家計に届くような数兆円規模の第2次補正予算を編成することを麻生大臣に迫りました。大臣は経済見通しの見直しには言及しませんでしたが、いざという時は補正予算などで果敢に対応していく旨答弁されました。また、野党共同会派としても、予算委員会でカジノやマイナンバーポイントといった、不要不急な事業の予算を削減して、コロナ対策に振り向ける予算組み替え案を提案し、私が委員会で提案理由を説明しました。こうした、国民生活に資する建設的な提案を引き続き進めていきます。
そして、あらためて景気に悪影響を与えることが明らかになった消費税増税を見直し、引き下げを含めた大胆な措置が必要と確信しています。国会審議に加え、消費税減税研究会も、佳境を迎えています。日本経済が手遅れに陥る前に、減税を含めた大胆な経済活性化策を打ち出します。
スタッフ日記 「冷静で寛容な社会を」
連日報道される新型コロナウイルスの影響と、26日に発表された政府による対策方針によって、全国的なスポーツ、文化イベント等が中止となっています。大きな社会問題として、学校や企業にまでその影響が広がりつつあり、各都道府県でも、対策本部が設置されるなど、対応に追われています。
特に、奈良は国際的な観光地として、年間250万人の外国人旅行者が行き交う観光都市です。その奈良県経済への影響は、約3000人のキャンセルがあった宿泊施設をはじめ、飲食店、お土産屋などを中心に大きな影響を受けており、その総額は計り知れません。
奈良国立博物館の臨時休館や、奈良市役所での出勤時に公共交通機関を利用している職員に3月末までの間、時差出勤を認めるなど、県内でのこうした対策を含めて、1月28日に感染が確認された奈良県に住む60代の日本人男性以降の確認はなく、今まず自分達で何ができるのか、正確な情報をもとに、一人ひとりができる予防策を考えていきたいところです。
東大寺の悠久の歴史の中において、大伽藍の二度にわたる危機的状況に陥った時ですら、修二会だけは不退の行法として、1250余年もの間、一度も絶えることなく引き継がれてきました。そして今年も3月1日から、奈良に春を呼ぶ伝統的な行事「お水取り」として、例年通りに開催される予定です。
勿論、自粛するべきか開催するべきか様々なご意見があるかと思います。しかし、ここに奈良の連綿と続く歴史と伝統が、今日まで守られ続けている強さがあるのだと、私は感じています。(特命係長)