第930号 ここが足りない コロナ予算

 20日、政府は国民への一律10万円給付を柱とする、コロナ対策のための補正予算組み替え案を閣議決定しました。一律の現金給付は野党が率先して主張してきた政策であり、ようやく実現することは歓迎しますが、予算の内容を見ると、その他の支援メニューがまだまだ不足しています。

◆中小企業・個人への支援が足りない
 今回、補正予算組み替え後の緊急経済対策事業規模は117兆円に上るとされていますが、実際の補正予算における国の一般会計からの支出は、10万円の給付金を含めても、25兆円台にとどまっています。緊急事態の今、財政均衡へ固執する時期ではありません。今回、支出のほとんどは、特例公債で賄われますが、借金を恐れぬ思い切った公債追加発行で、さらなる支援の追加が必要です。

 例えば、事業収入が前年同月比50%以上減少した事業者について、中堅・中小企業は上限200万円、個人事業主は上限100万円の範囲内で、減少額が給付されます。しかし、この自粛で負った経済的ダメージは長引くことが必至で、支給要件、上限額ともに更に緩和する必要があります。
また、地方創生臨時交付金として1兆円が計上されています。この交付金は、地方自治体が、休業要請に協力した事業者への協力金として使うことが可能な、非常に重要な財源となります。5倍の5兆円は確保が必要だと考えます。

 労働者支援のための雇用調整助成金は、書類が多く手続きが煩雑という声が上がっており、事業者が一部負担しなければならないため使い勝手が悪くなっています。中小企業では助成率を国が100%とし、上限の1日1人あたり8330円から上乗せすべきです。
さらに、予算案には入っていませんが、営業自粛や売り上げ低下により家賃を払えず、事業の継続が危ぶまれる事業者が続出しています。賃料の支払い猶予制度の整備が必要です。

◆医療支援も必要
 医療への対応の遅れも深刻です。適切な治療を受け、感染拡大を防ぐために必要なPCR検査体制が需要に追いついていません。また、医療現場は使い捨てマスクの使い回しで治療を続けるなど疲弊しています。院内感染を防止し、安心して治療にあたってもらうためにも、医療資材の供給は喫緊の課題です。

 今回新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金として計上されているのは1490億円に過ぎませんが、医療支援のために、全額国費負担として、1兆円へと大幅増額すべきです。

◆減税議論が抜けている
 コロナの影響が深刻化する中、中長期的にも景気の悪化は確実です。政府の経済対策に決定的に欠けているのが減税です。中長期的に国民生活に資するのは大規模な減税です。緊急事態下で財政均衡に拘るべきではないのは、給付金の議論と同じです。

 税の見直し議論では、聖域を設けてはなりません。国民の生活を守るためには、どんなことでもやるという意気込みで、所得税、法人税、消費税といった基幹税をもその対象とすべきです。

 私は、27日に衆議院本会議で、補正予算案に対して、野党共同会派を代表して、安倍総理に代表質問を行います。国民の暮らしを守るための全力の支援と税の見直しの必要性を総理に説き、実現を迫ります。

 

スタッフ日記 「ラストラン。」

 4月17日、桜の開花をいまかと待つ北海道で、また一つの歴史が幕を閉じました。

 新型コロナウイルスが猛威を振るう中、予定していた最終運行の5月初旬を待たずして、札幌の桑園駅と新十津川駅を結ぶ札沼線(さっしょうせん)のラストランが急遽決まったとニュースで目にしました。

 札沼線は私も学生時代に何度か利用したことがあり、車体に緑のラインが施されたキハ150形の車両と、発車時に力強く響かせるディーゼルエンジン音に懐かしい景色が蘇りました。車内のほとんどがボックス席となっている同型車両は、降車駅に改札がない所も多く、先頭車両にいる所掌さんに直接定期券を提示するか切符を渡す、いま思えば汽車と乗る人の距離が近い空間だったことも魅力的でした。

 明治22年、十津川大水害によって村の4分の1にあたる610戸が被害を受け、約3,000人が家屋や田畑を失いました。その時、新たな生活地を求めて2,489人が北海道への移住を決断し、まさにゼロからのスタートとなりました。厳しい大自然を相手に不屈の取り組みによって、新十津川村は北海道有数の米どころとして発展してきました。

 しかし、人口減少の過疎化の波に抗うことはできなかったのです。

 大災害を機に新たな生活の1ページを開いた開拓の歴史と、猛威を振るうウイルスと闘う今日。予期せぬラストランに駆けつけた地元の方々と、最後の感謝の思いを伝えようと車椅子で駆け寄るご年配の方の姿に涙がこみ上げます。

 全国的に加速する感染の猛威、過疎地域のこうした日常と密着した生活を守るための対策が、こらから必要だと感じています。(特命係長)

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馬淵澄夫
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