14日、私が事務局長を務める立憲民主党「安定的な皇位継承に関する検討委員会」第1回会合が開催されました。
◆皇位継承議論の経緯
今回、党で皇位継承を検討することとなった発端は、6年前の天皇陛下(現上皇陛下)の「おことば」に遡ります。陛下は、おことばで退位について国民に問いかけられるとともに、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、…」と述べられました。おことばに対し、政府の有識者会議で、退位すら不要という意見が続出する中、当時私は先頭に立っていち早く検討委を立上げ議論を重ね、安定的な皇位継承のため、恒久的な退位を可能とする案を提示しました。陛下のご年齢もあり、まずは退位実現のための法案成立を優先しましたが、成立の際、退位が今後の先例になり得るとの答弁を当時の菅義偉官房長官から引き出すとともに、安定的な皇位継承を確保するための検討を政府が行い、速やかに国会に報告する旨の附帯決議を行いました。この附帯決議の要請に基づき、昨年、政府有識者会議で皇位の課題が検討されることになったのです。
◆先送りされた結論
ところが、昨年末に政府有識者会議から提出された報告書では、皇位の安定的継承を実現するための整合的な結論は出されず、問題を皇族数の確保にすり替えてしまいました。報告書では、女性皇族が結婚された場合も皇室に残る案、また旧宮家に属していた男系男子を養子として迎える案が提示されました。しかし、前者の案では、女性皇族のご結婚相手は国民のままで、お子様は皇位を継承できず、これでは何ら皇位の安定的継承という課題に答えていません。養子を迎える案も現実性に欠け、また、国民の中から特定の男子を選んで皇室に迎えることは、他の国民との間で、憲法が禁じる門地(家柄)による差別にあたる疑いも生じます。そのような疑問に対し、整合性のある結論はなんら示されていません。
これほど生煮えの報告となったのは、皇位継承の本質的議論に踏み込むと、必然的に女性天皇・女系天皇を認めるのか、女性宮家の設立はどうするのかというテーマを論じざるを得ず、それを避けるため論点をずらしてお茶を濁さざるを得なかったからだと考えています。
◆国民の素朴な疑問を問う
今後立法府の相違をまとめる検討が始まりますが、政府報告書を議論の土台とするには不十分です。ですが、頭ごなしに政府の案を否定し、政争の具としてはいけないと考えています。まずは、国民が抱く素朴な疑問を国会質疑等で政府に問い、事実を明らかにしていくことが必要です。例えば、旧宮家の男系男子にはどういった方がおられ、その中から養子を選ぶとすればどのような基準で選ぶのか?、女性皇族が結婚後も皇室に残られる場合、ご家族はどこにお住まいになり、どんな生活を送られるのか?といった素朴な疑問です。
皇位継承の本質的論点である女性・女系天皇についても当然委員会で議論しますが、最初から結論を決め打ちはしません。静かな環境で議論を重ね、その意見を持ち寄ることで立法府の総意をまとめ、国民統合の象徴である天皇の地位が、末永く続いていく制度を作ることを目指して参ります。
スタッフ日記「燃えゆくとんど」
寒波の影響で、新年から厳しい寒さが続いていますが、小正月のこの時期には奈良の各地で「とんど焼き」が開催されます。年末年始に飾れられた門松やしめ縄、書初めなどを地域の方が持ち寄って、神社の一角や、学校のグラウンドで炊き上げる冬の恒例行事です。
組み上げられた竹が燃え行くさまを遠くから見ているだけでも、身体が温かくなってくるようなこの時期の風物詩ですが、炎が高く舞い上がるため、消火活動の準備や近隣住民への配慮など、年々開催できる場所が限られてきているそうです。また、今年もコロナの影響もあって、小学校などでの開催が中止となる中で、一年越しに開催を決めた神社は昨年よりも多いように感じました。
しかし、そこには開催に至るまでにさまざまな苦労があると話を聞きました。コロナ対策は勿論ですが、奈良や生駒の地域にある神社では、とんど焼きを毎年の恒例行事としているところが多いですが、昨年を含めて年間を通じた行事が開催できない中、若者の神社離れもあって神社の台所事情は非常に厳しく、環境を維持するのが本当に困難になってきているそうです。
たしかに、公民館や公園などと違って寺社仏閣が新設されることは少ないですし、周辺にある緑豊かな森や田畑が開発され新興住宅化していく中で、地域のコミュニティのあり方も変革していきます。
江戸時代からいやもっと前からと聞くと、この歴史をコロナで途絶えさせてはいけないと心が動かされます。地域に根付くコミュニティの場として、地域の社会資本が維持されていくよう考えていきたいです。(特命係長)
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