ウクライナ戦争の被害は拡大しているが、停戦交渉は思うように進捗していない。ロシアの要求はウクライナがNATOに加盟しないことであり、その点では他の安全保障の仕組みでもよいとウクライナは妥協している。 ロシアのキーウ攻略は失敗し、東部2州の制圧に軍事力を集中している。 一方、アメリカは、主権国家がどの同盟に参加しようが、それは自由であるべきだという立場を堅持している。隣国が敵陣のNATOに加盟し、そこにアメリカのミサイルや核兵器が配備されることは、ロシアにとっては安全保障上、許容できないというのがプーチンの主張である。 1962年のキューバ危機のときに、自分の庭先にソ連のミサイル基地ができるのは容認できないとして、海上封鎖で対応したケネディ大統領の主張と同じである。この問題は、フルシチョフが基地建設を止めたために片付いた。今回妥協すべきは、アメリカであるというのである。 1989年のベルリンの壁崩壊、1991年のソ連邦の解体以降、ワルシャワ機構軍に加盟していた東欧諸国はNATOへの加盟を急いだ。また、ソ連邦に属していた15の共和国は独立国家となり、バルト3国はNATOに加盟した。隣接国のこれ以上のNATO加盟は認めないというプーチン大統領の意に反して、ウクライナは加盟を狙っている。 プーチンの軍事行動は、北欧諸国にも影響を与えている。ノルウェーやデンマークは続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』