<石坂友司『現代オリンピックの発展と危機 1940-2020』(人文書院、2018年)> 2020東京五輪誘致に関して、贈賄容疑で竹田JOC会長がフランス司法当局の捜査対象となり、会長退任の意向を固めたと報じられている。 私は、都知事時代には、2020年オリンピック・パラリンピックの準備に忙殺された。IOCや国や組織委員会との調整、膨れ上がった経費の削減、新国立競技場建設プランの見直しなど、多数の関係者の合意を得るのに苦労したものである(拙著『都知事失格』参照)。 それは都政の半分くらいの重みを持っており、利害関係者の政治的、経済的介入もあり、日々の対応に追われたものである。したがって、オリンピックの歴史全体を振り返り、その中で2020年を冷静に位置づける作業などをする時間的もあまりなかったくらいである。 本書は、現代のオリンピックがどのような展開を見せ、その時々でいかなる課題に直面してきたかを解説する。 著者は、フランスの社会学者ピエール・ブルデューの「象徴的権力」という概念を援用してオリンピックを分析する。19世紀末にクーベルタンが提唱した姿から今日まで、五輪がどのように変化していったかを、歴史的続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』