こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
突然の五輪東京大会のマラソン・競歩の「札幌開催案」がIOCからぶち挙げられ、関係者の間に大きな混乱と戸惑いが広がっています。
報道が出てから私なりに、内閣官房の担当部署を始め関係各所にここまで話を伺ってきました。
結果、招致が決まった2013年から都議として東京大会に携わってきたものとして、東京選出の議員として、軽々に札幌案には賛同できないと現時点では感じています。
※私個人の考えであり、組織を代表するものではありません
「暑さ」という点で、札幌が東京よりアドバンテージがあるのは確かです。本番に向けての「暑さ対策」が不十分だという指摘があったことも、真摯に受け止めなければいけないでしょう。
なので、一概に札幌開催案を全否定するものではありませんが、いくらなんでもこのタイミングでの方針転換は場当たり的過ぎますし、開催都市を軽視している協議プロセスも看過できません。
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報道への反応を見ると、都民の方でも「アスリートのことを考えればやむなし」「札幌開催の方が選手にとって良いのでは」という容認論が少なくないように感じます。
しかしながら、今回のこのタイミングでの決定は、本当に選手のためになるのでしょうか?
マラソン&競歩の札幌案 海外選手・関係者にも波紋「無駄な努力に」不満の声や論戦も
https://www.daily.co.jp/general/2019/10/18/0012801053.shtml特にマラソンのようなスポーツは気候状況・コースが重要であり、すでにこの時期は選手も緻密な準備を進めている段階ですし、そもそも代表選考から「東京」のコース・条件が前提になっています。
それをすべて根底から覆す決定は、明らかに有利不利が生まれるものであり、競技の公平性という点からも極めて疑問です。
東京が本気で札幌からマラソンと競歩を取り戻したいのなら、「北方領土」のことを言うよりも不可能とされてきた「夜開催」を提案すべきだと思います。
ドーハの夜と東京の夜なら、はるかに東京の方が涼しいと思いますし、直射日光のない東京の夜は札幌の昼よりは涼しく感じると思います。— 川内 優輝 Yuki Kawauchi (@kawauchi2019) October 17, 2019
本当にIOCがアスリートのことを考えるなら、すでに複数の方が指摘しているよう夜開催を検討・決定するべきです。
あるいはパラリンピック期間まで一ヶ月、開催時期を後ろに倒すという選択肢もあります。
運営コストとしては、場所を変えるより時間帯・時期を変更する方が遥かに合理的なはずです。選手の負担や大会運営という点からみると、
時間帯変更>>時期変更>>場所変更
となり、ウルトラCが最初に出てきたことになります。
とはいえそれは、ある意味では「わかっていること」でもあります。
テレビ放送という巨大スポンサー構造がバックにある商業オリンピック大会では、すでに放映帯が決まっていて時間帯や時期の変更は不可能なのでしょう。
結局はなんのことはなく、「アスリートファースト」というのは建前で、ドーハ世界陸上の惨状を見たIOC上層部が責任を取りたくない、かといってTVスポンサーも失えないという極めて自己保身的な対応ではないでしょうか。
いつも思うのだがIOCは気まぐれ、いい加減すぎる。真夏の東京の危険性は昔から
わかっていた。振り回される東京都も組織委員会も政府も迷惑な話➡五輪マラソンの開催地が変更 https://t.co/ZvwW0lihrg— 上山信一 (@ShinichiUeyama) October 19, 2019
IOCの経営はとても難しい。IF(各競技の国際連盟)、NF(国内連盟)が言うこと聞かない。開催都市と開催国と開催国の組織委員会が一枚岩でない。さらにスポンサーやメディアの金の力が働く。ガバナンスが利かない構造が巨大な無駄や見えない利権を生みだす。世界の矛盾の象徴。 https://t.co/eqadeq2wyp
— 上山信一 (@ShinichiUeyama) October 19, 2019
かつて都政でオリパラ調査特別委員会の委員長を務めた上山信一氏が喝破するように、IOCという組織のガバナンスは異常です。
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賛否両論があるのは承知の上で改めて申し上げますと、私はこの時期に至ってはマラソン・競歩は東京で開催するべきだと考えます。
札幌案も大いに「アリ」だったとは思いますが、さすがにこの時期では遅きに失しました。
いくらIOCが絶大な権限を持っているとはいえ、ここで開催都市と揉めて困るのは先方も一緒なはずです。
東京都と五輪組織委員会は心を合わせてIOCに対応し、30日からの調整会議で東京開催の優位性を共に主張し、現状維持を勝ち取っていただきたいと思います。
私もそのために引き続き、現在の立場からできることを模索して参ります。
それでは、また明日。