こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
国会でも家賃補助や学生支援について議論が行われておりますが、今日も都道府県知事たちのニュースが目立ちます。
東京都、ホテル療養者らにけん玉 小池知事「ストレス発散して」:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58865490Y0A500C2L83000/なぜけん玉?!
と一瞬思いましたし、案の定ネット上では大きな話題になっておりましたが、こちらは業界団体から善意で寄付されたものを活用されているようです。
閑話休題。
それよりも注目されていたのは、今日にも小池知事から具体的な「出口戦略」が発表されるのではないかという点でした。
大阪ではご案内の通り、すでに吉村府知事が「検査陽性率」「重症者用のベッド使用率」などを指標とした出口戦略・自粛解除に向けた具体的な数値目標を公表しています。
大阪モデルの該当数値を毎日府のHPで公表し、どの位の危険度にあるか、オープンにする。さらに、基準内なら緑色、警戒レベルになれば黄色、危険レベルは赤色で、大阪城公園や万博公園(太陽の塔)、通天閣(依頼予定)をライトアップし、府民が危険度を一目で分かるようにする。 https://t.co/Mk7OM4ucug
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) May 5, 2020
しかし結論から申し上げますと、小池知事からは明確な数値目標や「出口戦略」は示されず、自粛措置の解除に向けた「ロードマップ」を策定していく意向が表明されました。
東京都 小池知事「休業要請解除に何が必要か伝える」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200508/k10012422351000.html>これについて小池知事は記者会見で「経済や生活は大変心配で不安がある一方で、最高に効くワクチンや薬がまだ出ていない。感染者が東京で引き続き出ているなかで『出口、出口』と言うと、もうすべてクリアされたような雰囲気が漂うので、『出口戦略』ということばそのものを私はあまり使わない」と述べました。<
確かに「出口」というような言葉を使うと、気の緩みが生じてしまうという小池知事の懸念はわからないでもありません。
未曾有の感染症拡大という状況に直面するリーダーが、正解のない中で難しい政治判断を迫られていることも承知しています。
しかしそれでも、小池都知事には明確な数値目標・出口戦略を示して欲しかったというのが率直な思いです。
出口戦略と、それに伴う数値目標を示すことには、説明責任と大きなリスクを伴います。
なぜそうした目標を設けたのか詳しい説明を求められるでしょうし、数値があると外部から「検証可能」になりますから、事前にも事後にもその計画の是非を細かく追及されるでしょう。
だからこそ、そこに踏み出すことがリーダーシップであり、吉村府知事が称賛されている理由だと私は思います(もちろん戦略に失敗すれば、この評価があっという間に裏返ることもありえる)。
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「ロードマップ」と言えば小池知事は過去にも、豊洲市場移転問題において「ロードマップ」という言葉を繰り返しました。
ですが、そこには明確な数値目標や判断基準が乏しく、最後は「総合的な判断」という名のブラックボックスの中で意思決定が行われました。
外部から検証不可能な状態にしておけば責任の所在は曖昧にできますし、一時の追及さえかわしきれば、政治生命まで危険にさらされることはありません。
実際、小池知事は豊洲市場移転問題の失政を見事に乗り切りました。
しかし、仮に今回もロードマップが「総合的判断」的なものになるとすれば、いつまでも複数の会議体に意思決定を分散させ、明確な数値目標の設定から逃げ続けている国・政府となんら変わることはありません。
ただ小池知事ご自身も
「『どこまできたんだ』、『あとどれぐらい頑張れば』ということを分かってもらえるような工夫をしていきたい」
と述べておられますから、豊洲市場移転の際の失敗を繰り返すつもりだとは思いません。
ここまで国に毅然と対峙し、休業協力金などの政策をリードしてきた小池知事だからこそ、「出口戦略」でも踏み込んだ姿勢を見せていただくことを強く期待したいと思います。
国政からも政府与党には、緊急事態宣言解除に向けた具体的な数値目標の策定や、地方臨時交付金の増額・権限移譲などを強く要請し、地方のリーダーたちが動きやすい環境づくりのために引き続き尽力をして参ります。
それでは、また明日。