超増税+大きな政府。「本来のリベラル」を標榜する井手英策先生の講義を受けてきた感想

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

本日は「この国のかたち2.0協議会」の勉強会が行われ、講師は民進党時代に前原代表(当時)のブレーンを務めた経済・財政学者の井手英策先生でした。

宇佐美典也さんも絶賛していたので、最新著作を拝読してから勉強会に望んだのですが、刺激的で面白かったです。

まとまりはないかもしれませんが、以下メモ書きも兼ねて。

井手英策先生の主張は端的にまとめると、消費税を大胆にアップして(15%~)、それを財源にベーシックサービスを無償化していこうというものです。

医療・教育・介護などのベーシックサービスが無償化されれば、将来不安で貯蓄をする必要もなくなり、経済も回りだす…というわけです。

これは北欧などが実践している「本来のリベラル」なあり方なのですが、日本社会においてはなぜか「リベラル」と言われる左派政党が減税を主張し、保守政党である自民党が増税と大きな政府を推進していく現状を嘆いておられました。

また井出先生は、税は「(財源として)みんなで痛みを分かち合うもの」と考えているので、MMTには強く否定的

財政民主主義の根幹を破壊するものであり、結局はいずれくるインフレ→増税で将来世代にツケを回すだけだと喝破してました。

MMTの主張と限界については、ちょうど我々も動画をアップしていたところですので、ご興味ある方はこちらも御覧くださいませ。

さて、こうした井手英策先生の主張・考えは、元来から小さな政府・自由主義者よりの考え(モデレート・リバタリアン)である私とは大きく隔たりがありまして、論点はいくつも出てくると思うのですが、代表的なものをいくつか。

まずシンプルに、「政府」はそこまで無邪気に税金を預けられるほど信頼がおけるものなのか?という点です。

消費税を20%に増税して、それがすべて効率的・合理的にベーシックサービスとして国民の元に届いたら理想的ではあるものの、残念ながら政治の世界というのは百鬼夜行。

既得権益やしがらみの中で、実際のサービスとして国民の手元に届く前に、大きくその現物・価値は目減りする可能性が高いと思います。

また、そこまで大きく消費税を増税して、日本経済が耐えられるのか?という問題もあります。

これに対する井手英策先生の答えは「仮に20%消費税を集めても、それを20%使ってそのまま社会に返すわけだから問題ない」というものです。しかし、これも上記と同じ壁にぶつかります。

プレミアム商品券にしても臨時特別給付金にしても、国民にお金やサービスを配ろうとすると2割くらい経費がかかって目減りします。時間もかかり、そうこうしているうちに経済は大ダメージを受けてしまう可能性は高いと思います。

「借金で財政出動をすれば使い方はめちゃくちゃになる。税できちんと『痛み』を分かち合い、使いみちを明示すればそうしたことは起こらない

というのが井手英策先生の哲学なのだと拝察しますが、果たしてそうなるものでしょうか…。

ただ、格差をなくしていくというゴールや、所得制限を設けないベーシックな社会保障制度など、共有できる部分も多々あり、非常に勉強になりました。

税制やマクロ経済政策は、まさに国の根幹をなす部分。引き続き多くの視点から検討を続けていきたいと思います。

井手英策先生、「敵地」とも言える維新メンバー中心の勉強会にお越しいただき(笑)、ありがとうございました!

それでは、また明日。

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おときた駿
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