蘇る「昭和」の空気と格闘技。キックの鬼・沢村忠はなぜ宙を飛んだのか?

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

日曜日なので、本の話題を書こうと思います。

沢村忠に真空を飛ばせた男―昭和のプロモーター・野口修 評伝 / 細田昌志

いまやK-1やRIZINなどの格闘技興行は(一時ほどのブームはないものの)定着し、グローブをつけてパンチとケリを放つ「キックボクシング」もお馴染みの競技となりました。

しかしこの「キックボクシング」、ボクシングと異なり欧米からの「舶来物」ではなく、ムエタイをベースに日本で産まれた和製英語・和製格闘技であることはどこまでご存知でしょうか?

本書はそんな「キックボクシング」を誕生させ、「キックの鬼」と言われた沢村忠をプロデュースした伝説のプロモーター・野口修氏を中心として、昭和の格闘技興行の歴史を紐解くノンフィクション作品です。

…格闘技・武術好きなので気軽な気持ちで移動時間に読み始めたのですが、めっちゃ重たい(笑)。

物語は戦前の政治運動・右翼史から始まり、「いや、それとキックボクシングになんの関係が?」と思わせつつ、それが現在のキックボクシング団体乱立の理由にまで繋がっていることを見事に描き出す筆力。

そしてキックボクシングの名声をここまで高めた伝説の名選手・沢村忠の試合は「フェイク」だったのか。

なぜあそこまで人気を博し、ど派手なKO・連勝を重ねることができたのか。その真実にも鋭く迫っています。

今の格闘技のセオリーから見ると、たしかに当時のKOシーンは「むむむ…?!」と感じるところがありますよね。。

ただまあ、このあたりは私も確証があるわけではないので、これ以上の言及は避けておきます。詳しくは本書でご確認ください?!

キックボクシング・格闘技興行に光をあてつつ、あくまで主役は野口修なので、キックや格闘技とは無関係な描写も多々。

そこでページをめくる手が止まってしまう人もいると思うのですが、それぞれの登場人物や時代背景が「昭和」の時代と空気感を見事に描き出しているように感じられます。

私も昭和生まれではありますが、物心ついたときには平成に突入した「失われた世代」でありますので、昭和というのはやはり良くも悪くも「荒削り」な時代だったのだなあと。

大晦日にはまたRIZINがあると思いますが、格闘技好きの方はこんな昭和の歴史に触れてみるのもいかがでしょうか。

書評でした。それでは、また明日。

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おときた駿
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